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No.382(2016/3/4)
デトロイト市で教員の山猫ストライキが発生

 2014年に財政破綻した米デトロイト市で、教員による山猫スト(労働組合が認めないストライキ)が頻発している。
 デトロイト市の財政破綻は、汚職の拡がりや資金の乱用、自動車産業の破綻、住民の市外移住による税収の大幅減、連邦政府からの補助金削減などが重なり慢性的な財政難に陥った末の結果である。
 1月に、デトロイト市の100の公立学校のうち64校の教員が一斉に病気を理由とする欠席をし、学校側は休校を余儀なくされた。このため4万6000人の生徒のうち、3万1000人が授業を受けられなかった。このストライキはその後も続いている。
 デトロイト市の学校は、劣悪な施設の放置、教員のモチベーション低下などにより、算数と英語のテストでも全米で最低の評価におかれ、過去15年間に生徒数は3分の1に減少し、多くの学校が廃校に追い込まれている。教員一人当たりの受持ち生徒数は、全米平均で約20人であるが、デトロイト市では倍以上の45人-50人に達している。
 デトロイト教員連合会労働組合(DFT)は、このストライキを承認していないが、アイビー・ベイリー暫定会長は「労働組合はこのストライキを承認しないが、その怒りは理解している。校舎はねずみに食い荒らされ、水道は水漏れが多く、腐食で穴があちこちに空いている。こうした学校に通う子供たちを見るに忍びない」との見解を示している。

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米国主要都市で低所得層の所得格差が拡大

 米国・国勢調査の結果を分析していた中道・リベラル系のシンクタンクとして長い伝統と実績を残してきたブルッキングス研究所が、「米国の主要都市における低所得層の所得がさらに低下して、高所得層との格差が拡大した」と報告した。
 報告書は「ニューヨーク、ニュー・オルリーンズ、シンシナチ、ワシントン、セント・ルイスなどの主要都市において、低位20%の低所得層の収入が、2007年のリーマン・ショック以前の所得を下回った」と述べ、「中間所得層の多いシンシナチ市では、1914年の低位20%の所得は1万454ドル(約117万6702円)であり、物価上昇を差し引くと2013年比マイナス3%で、リーマン・ショック時比マイナス25%になる。一方、トップ5%所得層は16万4410ドル(約1850万5990円)であり、その格差は約15.7倍に上る。同様の格差は全国的に見て9.3倍だが、リーマン前は8.5倍であった。近年の景気回復も、低所得層の所得引き上げには繋がっていない」としている。
 ちなみに、ハーバードなどの学者などが多いボストンでの所得格差は17.8倍、ニュー・オルリーンズ17.7倍、アトランタ17.5倍であり、シンシナチにおける所得格差の大きさは全米4位である。
 ブルッキングス研究所は、これまで民主党政権に政策的な影響を及ぼしてきており、大統領選挙における富裕層への増税問題にも影響を与える報告といえる。

*1ドル=112.56円(2016年3月1日現在)

米国女子サッカーチームに労使紛争

 金権汚職で揺れている国際サッカー連盟(FIFA)傘下の米国女子サッカーチームの労働組合が、オリンピック出場を決める北米トーナメントを前にして、労使紛争に直面している。
 問題は2012年期限の労使協定を何時でも無効にできるとするUS女子全国サッカーチーム選手協会労働組合(USWNT)と、2013年3月に交した協定延長メモが2016年末までは有効とする米国サッカー連盟(USSF)との見解の相違であり、2014年に就任したUSSFニコルズ事務局長が2月24日までの協約更新を迫ったことから、ノー・ストライキ条項の失効を恐れた連盟が2月3日に訴訟を起こす事態に発展した。
 底流にあるのはサッカー女子選手たちの厳しい経済環境だ。フォーブス(電子版)が発表した2014年の女子スポーツ選手全体の高額所ランキングでは、最高約30億円で、テニスやフィギュアスケート、ゴルフなど10億円の年間所得を得ている女子選手が数多くいる一方、サッカー女子で1000万円の所得を超える選手は、世界中で4人程度だといわれ、平均300万円から600万円という水準にとどまっている。また、男子選手の自然芝に対して女子選手が、安全性に劣る人工芝のプレイを強要されること、男子選手のビジネスクラスに対して女子選手はエコノミーでの移動など、歴然とした格差があり、オリンピック最終予選を迎えて今後事態がどう伸展するか、関心が集まっている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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