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No.371(2016/1/22)
ノーベル平和賞受賞のチュニジアの労働組合と韓国の闘い

 2015年のノーベル平和賞の授賞式が、国際人権デーの12月10日、ノルウェーのオスロで行われ、チュニジアの民主化に貢献した「国民対話カルテット」の代表に授与された。
 「ジャスミン革命」で独裁政権が崩壊、イスラム諸国に広がった「アラブの春」の震源地となったチュニジアで、国民対話カルテットの推進力となったチュニジア労働組合連盟(UGTT) のフセイン・アバシ書記長は、受賞にあたってテロと暴力に立ち向かうためには「対話」が重要な役割を果たしたことを強調した。
 3月に起きたテロリストの襲撃事件により、22人の尊い命が犠牲になった現場、バルド国立博物館にノーベル平和賞を展示することを明らかにし、「チュニジアは『アラブの春』の国々の中でも例外であろう。だからといって他の国々でできないことではない」とも述べ、「多様性のなかでは国と国、異文化の間での対話は、人々の自由と人間としての尊厳と労働の現場で重要なことである。ノーベル平和賞は、カルテットはもとよりジャスミン革命や、ジハードの犠牲になったチュニジアの女性、青年、政党そしてチュニジア社会全体に与えられたものである」との認識を示した。
 国際労働組合総連合(ITUC)のシャラン・バロウ書記長は、「今日、自由と民主主義への歩みが止り、民主化を阻害し、権威主義的な傾向を強めている国が少なくない。このような国々では攻撃目標になる労働運動活動家や人権活動家だけでなく、一般市民にまで危険な結果をもたらしかねない。チュニジアの労働組合指導者だけが、ここオスロで称賛を受けているのは残念である。UGTTの仲間でもある、韓国全国民主労働組合総連盟(KCTU)のハン・サンギュン委員長は、大掛りな機動隊によって、聖なる仏教寺院から追い出され拘束された。当局の弾圧を受けながらも、韓国のハン委員長と何百人という組合員もしかり、アッバシ委員長とまったく同じ要求をかかげて闘っている、勇気ある人々が、世界にいることをわれわれは忘れてはならない」と述べた。
 チュニジアの「国民対話カルテット」は、チュニジア最大の労働組合であるチュニジア労働総同盟(UGTT)、産業商業手工業連合、人権擁護連盟、全国弁護士会の4者でつくる枠組みのことで、4者の「対話」と運動が、チュニジアの民主化と中核的人権を基にした憲法の採択に貢献した。
 UGTTは、郵便・情報、農業、繊維、保険、教員、観光、鉱業、運輸など41産業別組織から成り、組織人員は約80万人。女性組合員が半数以上を占め、ITUCに加盟している。

※KCTUのハン委員長は、2015年4月のセウォル号1周忌追慕集会と、5月のメーデー集会の際の一般交通妨害容疑等(違法デモの主導)で逮捕状が出されていた。ハン委員長は、公安の弾圧と主張している。

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