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No.359(2015/11/24)
インドネシア政府が最低賃金の新改定方式を提案、労働組合は反発

 10月15日、インドネシア政府は、新たな最低賃金の決定方式を発表した。その決定プロセスには労働組合の入り込む余地はなく、機械的に物価上昇率とGDP成長率を加えたものにするというもので、労働組合は激しく反発している。
 全インドネシア労働組合総連合(KSPI)のサイド・イクバル議長は、全ての労働組合がこの方式に一致して反対しようと、次のように語っている。
 「我々は、政府がこの改定方式をストップし、2016年の最低賃金決定に向けて、政労使3者会議で改定方式を協議し決定すべきだ。今回の政府案では、最新のインフレ率とGDPにより最低賃金が改定されることになる。インドネシアの最低賃金は、全国平均で月額200万ルピー(約1万7800円)にすぎず、ジャカルタ地域でも270万ルピー(約2万4030円)で、周辺各国の最低賃金より低い。例を挙げればマレーシアは320万ルピー(約2万8480円)、タイは340万ルピー(約3万260円)、フィリピンは360万ルピー(約3万2040円)となっている。仮に2015年のインフレ率が5%でGDP成長率が5%とすると、(新改定方式で計算すると)2016年度の最低賃金は年間10%の増加となり、全国平均で最低賃金は220万ルピー(約1万9580円)に抑えられる。生活費に占める84品目の状況を基本に、最低賃金を協議決定すべきだ。政府が新方式を強行するならば、11月には全国規模で500万人の労働者がストライキをする用意がある。」
 ITUCシャロン・バロー書記長は「今回の改定方式案は最低賃金の決定や運営には労使との協議が必要としているILO131条に違反している。政府は最低賃金決定に労組を排除するために大企業と裏取引をした。これは労働者の権利に対する攻撃で有り、生活水準を損ない需要を圧迫し、インドネシアにおける政治的安定と経済的成功を毀損する」と言明し、ITUCはインドネシア政府が今回の改定方式を撤回し、交渉のテーブルにつくべきだと主張している。
 政府は強硬姿勢を崩さず、最賃改定新方式に反対する労働組合のデモが激しくなり、10月25日には3万5000人のデモがジャカルタで行われ、25人が逮捕された。11月4日には、スマトラでのデモに対し、30人の暴漢が襲い、7人のデモ参加者が負傷し入院した。
 インダストリオールのユリキ書記長は、インドネシアの民主化の後退だとして「労働者に対する全ての暴力をただちにやめるべきで、インダストリオールグローバルユニオンは、インドネシア政府に対し、表現と集会の自由を尊重することを要求する。また、全てのインドネシア労働組合が要求する以下の3点を支持する。[1]労働組合の参加なく最低賃金を改定する方式を拒否する。[2]GDP成長率とインフレ率に基礎をおいた最低賃金の改定方式(10%)を拒否する。[3]2016年の最低賃金は22%増ないし50万ルピー(約4450円)増額を要求する。」との表明を行った。

*1ルピア=0.0089円(2015年11月19日現在)

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