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No.321(2015/6/26)
中国の労働事情

 5月22日に行われた中国・インドネシアチームの労働事情を聴く会から、中華全国総工会(ACFTU)の報告の一部を紹介する。

最低賃金2ケタの上昇続く
 2014年の中国の実質GDPは前年比7.4%増加し、都市部の新規就業者数も前年より増加し1322万人となった。2014年の消費物価は2.0%の上昇となり、昨年の2.6%より下落し、全体的に見れば中国の経済は安定的に成長している。
 こうした経済背景をのもとで、2014年は、所得分配と社会保障の面でも成果を上げている。国民一人当たりの可処分所得は実質8%増加するとともに、企業退職者の年金水準は10%上昇し、経済成長より高い伸び率となった。
 4月に入り、全国19省(自治区・直轄市)で2015年最低賃金基準が公布され、各地の最低賃金(月額)は、4月1日から適用される。主な地域別最低賃金は、北京が1560元(約3万904円)から1720元(約3万4073円)へ10.3%の引き上げとなり、上海が1820元(約3万6054円)から2020元(約4万16円)へ11.0%の引き上げとなった。このほか、天津が1680元(約3万3281円)から1850元(約3万6649円)に、甘粛一類地区が1350元(約2万6744円)から1470元(約2万9121円)に、それぞれ引き上げられた。今年から北京と上海の最低賃金基準には、「社会保険料と住宅公共積立金の個人負担分」を含んでいないことから、「純賃金」部分が大幅に上昇したことになる。
 北京の最低賃金では、非全日制労働者の最低賃金(時間給)も10.7%引き上げ18.7元とした。非全日制労働者とは、いわゆるパートタイマーやアルバイトのように時間給で働く労働者のことで、法により、同一の使用者のもとでの労働時間が1日4時間以下、1週間24時間以下の労働者と規定されている。

労働人口の減少や格差など5つの課題
 ACFTUが抱える5つの課題について報告する。
 まず、労働年齢人口の増加速度に歯止めがかかり、労働年齢人口が減少し続けている点である。次に、労働者の技術の質が経済構造の調整および産業転換によるレベルアップの要求に対して、依然としてギャップがあることである。三つ目は、労働者の権益実行(権利の行使)にはまだ障害がある点である。四つ目は労働者群の構成に依然として大きな差異がある点(労働者間の格差)である。五つ目は、労働者の思想に多種多様かつ多元的な変化が見られる点である。
 次に労使関係の変化という点では、現在のところ中国の労使関係は全体的として安定を保っているものの、労働争議も多く、時に集団争議も発生している。2013年には、66万5760件(前年比3.8%増)の労働争議を受理している。製造業、建築業、サービス業での発生率が高く、主な発生主体は農民工、派遣労働者となっている。労働者の主な要求は賃金、社会保険料、経済的補償等を含む経済的利益となっている。これらはすべて、労働組合が深く研究し、把握しなければならない問題である。

JILAF注1:中国の法定労働時間は、1日8時間、週平均44時間以内となっていたが、1995年5月から国務院(国の最高行政機関)規程で週平均40時間が採用されている。
JILAF注2:労働紛争調停仲裁法が2008年5月に施行された。労働紛争が発生した場合、労働者は使用者と交渉することができ、労働組合あるいは第三者を使用者と交渉させることもできる。
 また、当事者が交渉する意思がない、交渉をすることが出来ない等の場合、調停組織に調停を申請することができる。さらに、調停が不調の場合は仲裁を申請することができ、仲裁に不服がある場合は、人民法院に提訴することができる。

*1元=19.81円(2015年6月22日現在)

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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