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No.298(2015/2/25)
ミャンマーの民主化と労働法制の動向

 1月4日、ミャンマーは第67回目の独立記念日を迎えた。この日の前後には、政府による記念式典やパレードが開かれる一方、市民・NGOによる民主化の促進を求める集会なども開催された。これに先立ち、1月1日には、同国の選挙管理委員会が、今後の民主化の焦点である総選挙を今年の10月下旬から11月初旬までのいずれかの時期に実施することを発表した。 ミャンマーでは、2010年に現テイン・セイン大統領が就任したが、2012年の総選挙補選で野党の国民民主連盟(NLD)が圧勝した頃から民主化の流れが強まったといわれる。今秋の総選挙では、上下両院の議席のうち四分の一を占める軍人議席を除く約500議席が改選される見通しで、NLDと旧軍事政権に繋がる与党の「連邦団結発展党(USDP)」との激突が予想される。NLDは総選挙に圧勝し、現在、外国籍の家族を理由に憲法が認めていないスー・チー氏の大統領就任に道を開きたいなどとしている。

 今日のミャンマーの内政での焦点の一つは労働法制である。同国では、1962年の軍事クーデター以来、長期にわたる専制が続き、なかでも労働関係は、ILOに労働問題を訴えたことで死刑判決が出るような極端な抑圧が行なわれていた。そのため、労働者の権利を保護する労働法と、それに基づく労働組合の活動は、ほぼ50年ぶりの再出発をすることとなった。

 2011年、ミャンマーの新しい労働組合法が制定され、翌年に施行された。1962年に軍事政権が当時の労働組合法を停止してから51年ぶりのことである。なお、その時代の法律は、「1926年労働組合法」であるが、これは、当時、ビルマが英領インドの一部であったことから、その法律が適用されていたことによる。

 ミャンマーでは、これに続いて、各分野の労働法が生まれつつある。2012年に「労働争議法」、「社会保障法」、2013年には「最低賃金法」、「労働および技術向上法」が制定された。今後は、日本の労働基準法にあたる法律の制定などが課題である。現時点では、英領インド時代に連なる工場法(1951年)、休暇休日法(1951年)などの個別の法律が適用されるかたちだからである。

 なお、労働組合法の制定を受けて、それまで、ほぼゼロの状態から立ち上がってきた労働運動は活性化した。しばらくの間は、組織間の調整に手間取る姿もみられたが、昨年11月末、ITUCミャンマー事務所長として連合から派遣されている中嶋滋氏の働きかけもあり、登録労働組合の過半数である627組合を結集した統一組織として「ミャンマー労働組合総連合会」(CTUM)が結成された。年末に想定される新しい政治情勢のもとで、CTUMを軸とする同国の労働運動の発展と、今後の労働法制の構築に向けての活動が期待される。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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