バックナンバー

No.273(2014/10/23)
モンゴルの労働事情

 8月31日から2週間の日程で、JILAFの招へい事業にモンゴル労働組合連盟(CMTU)から6人が参加した。9月5日に行われた労働事情を聴く会から、モンゴルの労働事情についてその一部を紹介する。

【鉱物資源に頼るモンゴル経済と雇用の質の低下】
 モンゴルの国土は日本の4倍もあるが、人口は290万人にとどまり、このうち3分の1以上の人が首都ウランバートルに集中している。労働者数は103万8000人、登録された失業者は8万7200人、2013年の失業率は7.8%となっている。2013年の就労者数は前年比で2%増加し、失業者数は600人で0.7%減少した。近年、労働者数は増加しているものの、新しい職場が生まれず、むしろ減少しているのが現状である。
 労働契約に基づいてモンゴルで働いている外国人は、2013年末で101ヵ国・8900人となっている。その内訳を見ると、中国人は32.1%、北朝鮮人は24.0%、ロシア人は7.6%、ベトナム人及び韓国人6.2%、アメリカ人4%、その他の国が19.9%となっている。外国人は、経済的な状況がよい分野、例えば建設や鉱山で多く就労している。モンゴルの輸出品全体の81.8%は鉱物資源で占められ、輸出国では全体の86.8%が中国向けとなっている。外国人が鉱山や建築会社で多く働いているということは、モンゴルでは専門的な労働者、技術者が不足していることを意味している。
 モンゴルの企業の従業員数をみると、従業員10人以下の零細企業が中小企業の90%を占めている。従業員100人以上の企業では、平均月給が85万5700トゥグルク(約4万8775円)、従業員100人未満の企業では、66万600トゥグルク(約3万7654円)となっている。鉱山では、賃金がほかの産業よりも比較的高く、ドル換算では平均1000ドル(約10万6830円)、あるいはそれ以上となっている。
 モンゴルは昔から牧畜業や農業が盛んな国であるが、この産業で働いている労働者の給料は非常に低く、その一方、近年、教育、輸送などでは平均賃金が上昇している。このほか、ホテルや外食産業なども、最近は賃金の上昇が見られる。現在、モンゴルの最低賃金はドルで110ドル(約1万1963円)となっている。最低賃金は、最低生活水準によって決定されるが、地方ごとに異なる水準である。
 2013年現在、1世帯当たりの平均収入は89万3500トゥグルク(約5万930円)となり、前年より14.4%増えた。世帯収入の増加の要因は、賃金収入が21.1%増加、その他の収入が51.0%増加したことによるものである。一般家庭の支出は、収入を若干上回る90万2500トゥグルク(約5万1443円)で、前年比22.0%増加した。
 鉱物資源の輸出先の経済が悪化したことと、政治が不安定になってきたことから、海外からの投資が減少し、その結果労働市場にも大きな影響が出ている。非正規雇用が増え、あるいは大幅な人事削減を行なう企業が出てきている。収入が増えているものの、インフレ率が高く、実質収入は大きく目減りしている。また、人口の29%が貧困層と言われており、社会格差、貧富の差が徐々に著しくなってきている。政府の財政悪化に伴い社会保険も厳しい状況に陥っている。こうしたことから若者の20%が、海外で出稼ぎ労働者として働いている。

*1トゥグルク=0.057円(2014年10月21日現在)
*1ドル=106.83円(2014年10月21日現在)

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.