バックナンバー

No.240(2014/5/12)
ITUCの仲間、エベレストで雪崩の犠牲に

 ネパール労働組合総連盟(GEFONT)加盟、エベレスト山岳ガイド(シェルパ)のドルジェ・カトリ氏が、4月18日、エベレストで起きた雪崩に遭い死亡した。雪崩に巻き込まれたのは5月の登山シーズンに向け共同してフィックスロープをはる準備をしていた山岳ガイドで、13名が死亡、3名が行方不明という一つの雪崩事故としてはエベレスト史上最悪の惨事となった。
 カトリ氏は2011年5月エベレストに登頂した折に、国際労働組合総連合(ITUC)のフラッグを8848mの頂上に翻すという偉業を遂げているこれは国連温暖化防止会議COP17(ダーバン会議)を控え、国際的なキャンペーンの一環としてITUCがGEFONTに託していたものだった。カトリ氏は、シェルパの厳しい労働に見合ったディーセント賃金と、雇用権を求めて仲間のシェルパの組織化もすすめていた。
 2006年から7回外国の登山家をエベレスト登頂に導いたカトリ氏は、氷河の先端が後退していることや、水源地であった湖が涸れてきていること、氷上のテント設営で、ペグの固定が以前にも増してうまくいかなくなっていることなどで、地球温暖化の影響を直接感じていた。
 ITUCは2010年6月の第2回世界大会で「持続可能な開発と公正な移行を通じた気候変動対策」の決議を採択して、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の早期採択を求めた。2011年11月、南アフリカ共和国、ダーバンで開催された「第17回気候変動枠組締約国会合と第7回京都議定書締約会合(COP17・COP/MOP7)」に参加した折、カトリ氏は世界最高峰で翻したITUCフラッグをダーバンの海辺でかかげた。それはITUCが幾多の障害を乗り越え、国際的な統合組織に収斂したように地球の未来のために、温暖化防止に途上国も先進工業国も政治的障害を克服して合意に到達することを世界に訴える、ヒマラヤからのメッセージであった。
 ITUCシャラン・バロウ書記長は、カトリ氏の死を悼み「気候変動防止運動の最前線に立っていたドルジェ・カトリ氏の、献身的で確固とした活動の足跡は永遠に消えることはない。世界一級のクライマーであったカトリ氏を失い、悲嘆にくれるしかない。カトリ氏と、彼の仲間のシェルパの遭難死に対し哀悼の意を表しご冥福をお祈りします。」と述べた。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.