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No.192(2013/9/10)
ファーストリテイリングがバングラデシュの安全協定に署名

  8月8日、ユニクロを傘下にもつアジア最大の衣料品小売業のファーストリテイリングが、「建物と火災に対する安全性に関する国際産業別組織と小売業との産業協定」に署名した。
 この協定を主導している国際産業別組織(GUF)の一つであるUNIグローバルユニオンはこのことを評価し、 UNI日本加盟組織連絡協議会 (UNI-LCJapan)の努力に賛辞を送るとともに、この安全協定に署名する他の日本の企業がでてくることを期待している。
 今年4月28日にバングラデシュで発生したラナ・プラザ・ビル崩壊事故による1129人もの衣料品工場労働者が犠牲となった惨事は、世界を震撼させるものであった。しかし、これ以前の8年間でも1800人以上の既製服産業労働者が火災や工場の倒壊によって死亡しており、再発防止策は喫緊の問題として政府間レベルでも対応策が検討されてきた。
 4月の惨事の舞台となった工場が、世界的なブランド商品を製造していたことで、多国籍小売企業の企業行動に対する関心も高まり、国際労働機関(ILO)、欧州連合(EU)、GUFやNGOが連携して、このような悲劇の再発を防止するためにさまざまな施策がとられてきた。
 GUFでは、製造業の労働者をインダストリオール(IndustriALL)が、小売業の労働者をUNIグローバルユニオンがそれぞれ代表していることから、両組織間の密接な連携活動を通じ、ブランドメーカーの社会的責任の側面から安全協定への署名を求める運動を展開した。
 ファーストリテイリングが署名した安全協定は、「建物と火災に対する安全性に関する国際産業別組織と小売業との産業協定」で、ILOがまとめ役を務め、署名企業は法的拘束力を受ける。この協定への署名は、日本ではファーストリテイリングが最初で、これで米国の企業も含め16ヵ国・76のブランド企業が署名したことになる。しかし、米国大手小売業のウォルマートやGAPは、この協定には参加せず別に「バングラデシュ労働者の安全のための同盟(Alliance for Bangladesh Worker Safety)」という基金の創設を発表した。 
 この発表に対してアメリカ労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)と「勝利のための変革(Change to Win)」は共同声明を発表し、「ウォルマートやGAPのやり方は、労働者や労働者の代表との協議なしに作られたもので意味のある実行計画になっていない」と、述べた。
 関係GUFと推進しているこの協定は、国際連合(UN)をはじめとして、ILO、EU議会、EU委員会、経済開発協力機構(OECD)、さらに米上下両院の議員やリーダーも認めているものであり、同協定署名への参加を要請している。この共同声明は、AFL-CIOリチャード・トラムカ会長と「勝利のための変革」を代表して北米食品・商業労働組合(UFCW)ジョー・ハンセン氏会長両者の名前で出している。当該GUFのインダストリオールとUNIグローバルユニオンも、ウォルマートやGAPの計画をその運用に透明性が欠如していると批判しており、UNIクリシティー・ホフマン副書記長は「ウォルマートはその経営手法を工場の安全問題に持ち込もうとしている。これは価格競争の手法から考える問題ではない」と述べている。

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