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No.176(2013/5/31)
残業代の休日振り替え法案、下院で承認

 共和党優位の米国・下院議会で、民間企業の残業代支払いの休日振り替えを認める法案が223対204で承認された。同様の法律はすでに公務員について実施されている。
 この法案は週40時間以上働いた従業員について、年間160時間までを限度として休日への振り替えを認めるものである。これに反対する民主党や労働組合などは、経営者が従業員に対し残業代を請求しないよう圧力をかけることや従業員が追加休日を希望する際にこれを保証する規定が盛り込まれていないことを問題としている。
 ただし、民主党優位の上院議会で法案が承認される可能性は薄く、また大統領も法案が企業の残業削減努力を阻害することや休日より残業代を望む従業員への十分な保証がない点を挙げて、上下両院を通過した法案に対して大統領がその法案を無効にする権限である拒否権の行使も示唆している。
 共和党がこの法案を提出した背景には、経済成長と雇用の創出を政治テーマにして一般向けのアピールを狙っているが、時代に即さなくなった労働基準法を労働者の「ワークライフ・バランス」のニーズに合わせたものと説明している。
 現在適用されている1938年制定の『公正労働基準法』(Federal Fair labor Standard Act=FLSA)では、週40時間を超える労働について時間当たり150%の賃金支払いを定め、残業時間と残業代の清算はその賃金計算期間内に行なわれ、繰越すことができない。今回の法案は、年間160時間までの積算を認め、現金支払いの場合の支払時期は年間の中で企業の判断に任せられる。
 民主党は、公務員の休日振り替えは労働組合に充分守られている中の事例であり、しかも政府財政逼迫の際の特例措置であること、弱い立場にある一般民間労働者とは事情が違うこと、財界が同法案を積極的に支援しているのは労働者のためではなく経費削減が目的であること、振り替え休日の時期は企業が決められることで、必ずしも労働者の希望日時に取得できるかどうかわからないことなどを指摘して反対の態度を強めている。

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外地勤務のカナダ外務省職員がストライキ

 アフリカのケニア、ガーナ、南アフリカおよびジンバブエの4ヵ国にあるカナダの外国公館に勤務するカナダ外務省の外交官は、5月13日から出勤拒否のストライキを行なっている。
 ストライキの原因は、本国カナダの外務省職員に比べて給与が年額で3000ドル(約31万円)~1万4000ドル(約144万円)低いことへの抗議行動である。これらの職員が加入する外務省職員専門職協会労働組合(PAFSO)は、連邦政府との労働協約が2011年6月に期限が切れたままとなっている。
 これに呼応して本国カナダ外務省のアフリカ局、メキシコ・シティの移民局の職員もストライキに突入し、ワシントンやロンドンでも同様の動きが見られている。
 ストライキはカナダの国家元首であるカナダ国王(イギリス国王)の名代として任命され事実上の国家元首であるディヴッド・ジョンストン総督が5月13日から10日間の予定でアフリカ諸国訪問する時期に合わせて行なわれている。
 労働組合は、加盟している1350人の組合員すべてが同じ給与となるよう賃金テーブルの変更を求めている。

*1ドル=103.364円(2013年5月23日現在)

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