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No.101(2012/1/27)
労働条件を確保する公契約条例の制定続く
 東京都多摩市と神奈川県相模原市で2011年12月、「公契約条例」が相次いで制定された。この結果、公契約条例が制定された自治体は、千葉県野田市(2009年9月制定)、神奈川県川崎市(2010年12月制定)と合わせ4つとなった。このほかにも、東京都国分寺市や北海道札幌市などで公契約条例を制定する検討が行なわれている。
 公契約とは、国または地方自治体がNGOを含む民間企業と結ぶ売買、賃貸借、請負、委託等の契約のことである。こうした公契約は、厳しい財政状況を背景に、[1]公共サービスの効率化[2]コストダウン要請の高まり[3]激しい入札競争――等から低価格・低単価の契約・発注が増大している。このため、受注した企業の経営悪化により、そこで働く労働者の賃金・労働条件の低下を招くという問題が生じている。
 公契約によって賃金や労働条件の低下を防ぐため、ILO第94号条約(公契約における労働条項に関する条約)と同第84号勧告でも明文化されている。
 東京都多摩市の条例では、「適正な労働条件の確保と労働者の生活の安定を図る」ことが目的として掲げられた。対象事業者には下請け企業や再委託、さらには請負と派遣労働者も含まれている。労務下限報酬額では、熟練労働者とそれ以外の労働者に分けて金額を勘案(労働者代表も参加する公契約審議会の意見を聞く)するとされた。また、公契約を受注した企業が変わった場合でも、それまでその業務に従事していた労働者を継続雇用することについて、“努力義務”として規定されたことの意義は大きい。
 連合は、国の『公契約基本法』と地方自治体の「公契約条例」の制定を求め、2008年から運動を展開してきた。中央においては、政府との政策協議や政党への要請、地方では、学習会の開催、政党や自治体、議会への働きかけや要請――等を行なってきたが、その成果か徐々に表れてきたといえる。
インドネシア・最低賃金情勢
 インドネシア・ジャカルタ首都特別州は2011年11月末、2012年1月から適用する州の最低賃金を決定。現在の129万ルピアから約24万ルピア(18.5%・2030円)引き上げ、159万9150ルピア(1万3527円)となった。
 この決定に基づき、各地域や産業別セクターの最低賃金が2012年早々に決定されるが、この地方政府の公示額を不満とする労働組合は政府との交渉が行なわれている最中、デモやストライキを展開し、公示額のさらなる引き上げを要求している。
 インドネシアの最低賃金は州ごとの政労使で構成される賃金委員会において、その地方ごとの物価やインフレ率、失業率などを考慮し決定される。法律では、年1回1月1日に改定され、最低賃金決定に際し、考慮すべき点として(1)適正生活水準(2)消費者物価(3)企業の支払い能力――などを定めている。
 2012年に入り、ジャカルタ首都特別州の賃金委員会は10の産業別セクター最低賃金を業績により5~30%を上乗せすることで合意。最も業績好調であった通信と金融セクターは30%、自動車は8~16%、残りの7セクターは5~15%となった。今年から追加された小売り、輸出・運輸、メディア・娯楽の3セクターについては2週間以内の合意をめざしている。
 地域別最低賃金については、州政府がジャカルタ特別州最低賃金を基に決定したものの労働組合の要求で、新年に入り改定を余儀なくされており、ジャカルタ西部に位置するバンテン州・タンゲラン県では、137万9000ルピア(1万1665円)から152万7000ルピア(1万2917円)に改定された。インドネシア経営協会(APINDO)はこれを不服として、州政府を行政裁判所に提訴しているが、労働組合は「従来の最低賃金が最低生活費の月額150万ルピア(1万2689円)を下回っているため今回の改定は妥当だ」としている。タンゲラン県は、昨年の最低賃金も労働組合の引き上げ要求を受けて改定した。
 ジャカルタから西へ延びる高速道路15Kmが1月10日、組合員のバイクや車で占拠された。これはバンテン州・州都のセラン自治体が提示した最低賃金132万500ルピア(1万1170円)が最低生活費と比較し、低すぎることから、労働組合が146万9500ルピア(1万2430円)を要求、デモを実施したものである。セランの公務員部門労働者の最低賃金は132万500ルピアに据え置き、交通渋滞の早期解決に向けて民間部門労働者の最低賃金を141万ルピア(1万1927円)に引き上げると回答、10日深夜に合意した。
 ジャカルタ首都特別州の2012年、最低賃金の上昇率は2011年の15.38%から18.5%と大幅に上昇し、今後の地域別最低賃金も早期に決着することは困難な状況だ。
 この状況を最低賃金の上昇が著しい中国と比較すると、北京市は2012年1月1日適用の最低賃金は月額1260元(前年比9%増の1万5313円)、深セン市は2012年2月から1500元(前年比14%増の1万8229円)で、インドネシアが追い上げている状況だ。
 
レート 1インドネシアルピア=0.0086円、1元=12.2201円(2012年1月27日現在)
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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