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No.96(2011/12/2)
韓進重工業の11ヵ月におよぶ労使紛争が解決
 韓国の造船業のトップ企業である韓進重工・建設社(以下、韓進重工)での大量解雇に反対する労使紛争は11月に入りようやく解決したが、最終的には国会の「環境労働委員会」の勧告に労使が従うというものとなった。
 この闘争のシンボルとなった「タワークレーン」に308日間も立てこもっていた韓国民主労働組合総連盟(KCTU)のキム・ジンスク指導委員も闘争を終えた。しかし2010年12月20日からの長期間におよぶ闘争により労使とも疲弊し、企業再建という大きな課題が残された。
 ここで労使紛争解決までの道のりを解説したい。
 韓進重工業の労使は2011年6月28日、190日間のストライキを中止して解決のための労使交渉を行なった。その背景には労働組合側の事情として、長期間の無給で組合員が生活苦となり、多くの離脱者が出る事態となったことだ。その一方で、会社側には職場閉鎖による経営危機という事情があった。その他にも釜山地方裁判所はストライキ中の組合員に対し、職場である釜山・影島造船所の「立ち退きおよび出入り禁止」の決定を下し、警察力を要請したことも労働組合にとって大きな圧力となった。
 これに対して、イ・チェピル雇用労働部長官は、「労使による自主的な解決を待つが、不法行為が度を越えた場合やストライキが地域経済におよぼす波及力が大きくなれば、公権力投入を検討する」と述べ、外部の圧力も大きかった。
 しかし、2011年1月16日から、造船所の「タワークレーン」に立てこもっていた、KCTU釜山本部のキム・ジンシク指導委員は、「整理解雇者の職場復帰」を要求し闘争を継続した。 
 7月に入り、この闘争を支持する民主労働党の国会議員やKCTUの各地の役員は、会社外部でのデモや集会を開き、警官と激しいぶつかり合いを演じた。
 その一方で韓進重工のチョ・ナムホ会長は、外国に滞在しながら事態を傍観し続けていたが7月29日、「野党が同会長を国会聴聞会に呼び出す要求」に与党ハンナラ党が関心を示し、同党のイ・ジュヨン政策委員会議長は、キム・ジンスク指導員がクレーンでの闘争を解除すれば、「整理解雇者の職場復帰」を受け入れるとの条件付の折衝案を提示した。
 このような圧力でチョ・ナムホ会長は8月に帰国し、解決に向けて労使協議を行なったが、合意することはできず、10月に入り、国会の環境労働委員会が提案した「整理解雇者を1年以内に復職させる」という勧告案を同会長が受諾することを表明した。
 国会勧告案の具体的内容は、[1]今後1年以内に韓進重工業整の整理解雇者94人を全員復職させる[2]生計費支援の名目で最大2000万ウォン(約138万円)を支給――等である。これには韓進重工業・影島造船所のタワークレーンで闘争を展開している、キム・ジンスク指導委員の立てこもり中止が条件であった。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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