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No.89(2011/10/21)
アラブで新たな国際労働組合組織を結成
新組織の結成
 国際労働組合総連合(ITUC)の協力の下、9月16日、アラブ10ヵ国・15組織の労働組合の代表がヨルダン・アンマンで協議を行ない、「アラブ地域で民主的な独立した労働運動の展開と労働組合の連帯と統一を図ること」をめざし新組織を結成した。
 新組織の結成に参加した労働組合は、[1]バーレーン(GFTU)[2]エジプト(EFITU)[3]イラク(GFIW)[4]クウェート(KTUF)[5]ヨルダン(GFJTU)[6]リビヤ(LFWF)[7]モーリタニア(CLTM)[8]モーリタニア(CNTM)[9]モーリタニア(UTM)[10]モロッコ(CDT)[11]モロッコ(CGTM)[12]モロッコ(UMT)[13]パレスチナ(PGFTU)[14]チュニジア(UGTT)[15]イエメン(GFYWTU)――等である。
 新組織の会長には、UGTT・ジェラード事務局長が選出され、「民主化への移行過程や現在も革命的な闘争に労働組合運動が深く関わっている。真の民主主義と社会正義を打ち立て、アラブ世界全体の尊厳を確立しなければならない」と決意表明した。
 
宣言要旨
 [1]アラブ諸国では、民族解放闘争で中心的な役割を果たしてきたのは独立した労働運動にある。アラブの労働運動は"強権的独裁政治"という最も困難な状況の下に置かれ、自由を求める労働組合活動家は激しい弾圧や排斥に直面してきた。この弾圧により労働者の利益は損なわれ、社会的格差は拡大し、失業は増加、インフォーマル経済や不安定な雇用は拡大した。
 [2]容赦ないグローバル化の進行、国家による経済・社会政策の失政で多くの労働者は困難に直面した。それらの挑戦や辛苦を克服するため、独立した労働運動は草の根に基づくものでなければならない。労働組合の方向性を示し、新組織の当面の緊急課題は、バーレーンとシリアで激しい困難に直面している労働者や労働組合活動家に対して連帯強化が必要である。
 [3]労働組合の透明性と民主主義を進めるために、アラブの労働運動は民主的な法律を制定する上で、先駆的で効果的な役割を果たし、さまざまなアラブ諸国で民主的な機構を発展させ、自由と平等の理念を共有する他の社会勢力と連携し共同行動を展開する必要がある。
 [4]独立した労働運動の中心的な原則の擁護と促進、労働組合を結成するすべての労働者の権利、団体交渉権、労働組合の内部問題への他の外部組織からの介入の拒否。市民的自由の尊重、表現の自由と平和的集会の自由、男女間の平等、移民労働者をはじめ、すべての形態の差別の撤廃、真の社会的対話、インフォーマル経済に従事する労働者を含め、すべての労働者に対する効率的な社会的保護。
 なお新組織のコーディネーターは、PGFTUのシャヘール・サイード事務局長が選出されている。
 
参考資料:ITUCニュース
インド・マルチ・スズキ社の労使紛争解決へ
 インド・ハリヤナ州にあるマルチ・スズキのマネサール工場の独立系労働組合である「マルチ・スズキ従業員組合(MSEU)」の結成をめぐる労使対立は、6月4日から3000人の労働者がストライキに突入。国際金属労連(IMF)や日本の関係組合の仲介で解決したかに見えた(メールマガジンNo79参照)。
 6月の紛争解決時に労使協力協定を締結したが、会社側は一部従業員によるサボタージュ行為を認識し、生産の停滞や品質問題が発覚。これを防ぐために会社側は8月29日、従業員のサボタージュを防ぐことを目的として、工場に入場する労働者に対して、「職場規律遵守誓約」への署名を要求、反発した組合員との間で紛争が再発した。この署名を拒否した62人の従業員には、[1]正規従業員15人の解雇[2]29人の停職[3]訓練生18人の訓練終了――という懲戒処分を行なった。会社は生産を維持するため、グラゴン工場からの応援や間接部門の応援で対応したが、会社は苦境に立たされた。
 この状況に対して国際金属労連(IMF)や全日本金属産業労働組合協議会(IMF-JC)、自動車総連は、マルチ・スズキ社に「誠意を持って労使協議を行なうこと」を要請。IMF・南アジア事務所代表がMSEUと何度も会合を開き、9月30日、ハリヤナ州の代表も立ち会い、「1947労使紛争法12章・第3項」に基づき以下のとおり合意に達した。
 合意の当事者はマルチ・スズキ社とMSEU、グラゴン工場の企業内組合の「Maruti Udyog Kamgar Union (MUKU)」である。
 
合意内容
 [1]15人の解雇処分は撤回。当面停職とし、公平な調査を行なう。
 [2]18人の訓練生は職場に復帰。
 [3]29人の停職者は停職のまま公平な調査を行なう。
 [4]ノーワーク・ノーペイの原則が8月29日から職場復帰までの期間が対象者に適用。1日分の賃金控除がペナルティとして課せられる。
 [5]すべての従業員は改定された「職場規律遵守誓約」に署名し、効力は10月3日より発効する。
 [6]会社は従業員に報復的な嫌がらせをしない
 [7]これからはどのような紛争も話し合いで解決する。
 [8]両者はお互いに基本的な権利を尊重する。
 マルチ・スズキの労働者は連帯の精神で、停職中の44人の労働者のために毎月の賃金の一部を拠出し支援することとしている。
 一応の解決を見たが、マルチ・スズキの労使関係を良好にするには双方の努力が要求される。それ無しに生産は軌道に乗ることはない。

参考資料:IMFニュース
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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