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No.81(2011/7/25)
韓国雇用労働省による労使関係調査
 韓国雇用労働省は7月11日、2011年上半期の労使関係は安定傾向にあると発表した。これは従業員100人以上の企業8458社を対象に労使関係調査を行ない、[1]賃金交渉では37.3%が妥結[2]労働争議は2009年41件、2010年29件、2011年22件と減少[3]すでに妥結した3151社の平均賃金の上昇率は5.1%、昨年の4.5%より0.6%上回る――と報告されたことによるもの。また2011年上半期の労働争議22件のうち19件は、韓国民主労働組合総連盟(KCTU)の加盟組合であり、主な争議理由は賃金交渉をはじめとする団体交渉が妥結できないためである。
 この高い妥結率について雇用労働省は、「労使が協力し労使関係を発展させた結果」としている。しかし2011年7月より、「企業内の複数組合設立が合法化」されたことにより、交渉が複雑化する前に妥結をめざした労使双方の思惑が働いたことも起因している。
 また労使紛争の件数は減少傾向にあるが、争議による「労働損失日数」は1年前の17万8834日から18万2832日に増加。この原因として雇用労働省は、韓進重工など一部の争議が未解決であることを挙げている。「韓進重工の労働争議」はいまだ解決されておらず、7月9~10日、釜山で支援組合員1万人と機動隊の衝突が起きたばかりだ。
 このような現状から雇用労働省では労使関係は安定化に向かっているとしつつも、「不安定要素は依然としてある」と指摘している。それは金属、金融、医療、建設――の各部門での産業別・労使交渉が7~8月に集中しており、特に「現代重工業」の団体交渉の行方が賃金交渉の妥結率に大きな影響を与えるだけでなく、2011年下期の労使関係にも影響するためである。
 『労働組合および労働関係調整法』の改正により合法化された「企業内複数組合制」は、現在までに167の新たな労働組合が設立されている。そのうち、137組合が韓国労働組合総連盟(FKTU)とKCTUの2つのナショナルセンターから分裂して結成された。また150組合がナショナルセンターから独立した組合として登録されており、これまでの労働組合の組織構造に変化がしょうじている。部門別では、94の新組合がバス・タクシー部門、73の新組合が製造業・金融部門となっている。
 新組合の多くは組織規模が小さく、そのうち88組合は企業における組織率が10%未満、22組合が過半数を超える組合員を組織化している。その過半数を超える22組合は、6組合がFKTU、13組合がKCTUにかつて加盟していた。
 また、最近の賃金闘争の事例を報告すると、韓国ゼネラルモーターズで5月25日、賃金交渉が行なわれ、組合側は、[1]月例賃金15万611ウォン(1万1145円)の増額[2]純利益に対して30%の特別手当――を要求した。これに対して会社側は、[1]月例賃金は6万8828ウォン(5093円)の改善[2]特別手当は220万ウォン(16万2800円)を支払う――と回答。この回答は妥結に至らず、事態打開のため12回もの労使交渉を重ねてきたが決裂し、労働組合は仁川や群山、チャングオンの工場で3時間の時限ストライキに突入した。3時間の時限ストライキを3日間行うと、3600台の減産となる。この状況に関して会社側は「労使交渉ができるだけ早く解決するよう努力する」と言明している。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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