バックナンバー

No.79(2011/7/5)
インドのマルチ・スズキでの労使紛争解決
 インド・ハリヤナ州にあるマルチ・スズキのマネサール工場で6月3日、独立系の労働組合「マルチ・スズキ従業員組合(MSEU)」の結成・登録が行われた。しかし労働組合の結成に対して会社側が激しく抵抗したことにより、6月4日から3000人の労働者がストライキに突入。このマネサール工場の従業員数は3500人で、正規従業員900人、訓練生1500人、契約労働者1100人となっている。
 その一方でマルチ・スズキのグラゴン工場には、企業内組合の「Maruti Udyog Kamgar Union (MUKU)」がすでに活動しており、会社側はモデル工場団地のマネサール工場でもMUKUをパートナーと考えていた。しかしMSUEは「企業内組合では労働条件の向上や労働強化などに対応できない」として独立系労働組合の結成に踏み切った。会社側は「独立系組合や政党と関係する労働組合は認められない」と主張し、6月6日、MSEUに関係する従業員11人を解雇し圧力をかけた。
 これに対してインドのナショナルセンターである、インド全国労働組合会議(INTUC)とインド労働者連盟(HMS)は2000人の支援組合員を動員し、工場の正門でデモを行った。しかしハリヤナ州政府は、この闘争に対して「ストライキ禁止令」を発令し、地方裁判所に紛争解決を委ねた。この反労働組合的な州政府の介入に対して、グラゴン工場の企業内組合(MUKU)は集会を開き、連帯行動として2時間の時限ストライキを計画したところ、ハリヤナ州政府はストライキの延期と交渉の継続を要請した。そうした経過をふまえ、グラゴン工場の時限ストライキは回避されている。
 会社側は「マルチ・スズキ従業員組合」の承認を撤回したため、マネサール工場ではストライキに突入し、この闘争は13日間も続いた。この間、全日本金属産業労働組合協議会(IMF-JC)や全日本自動車産業労働組合総連合会(自動車総連)はスズキ株式会社に対応するスズキ労働組合の仲介努力が続けられ、6月17日、ハリヤナ州政府労働大臣立ち会いの下、[1]解雇者の撤回[2]結成登録の承認[3]労使双方の協力協定――などが結ばれ労使紛争は解決された。このストライキは操業日ベースで10.5日に及び、損失は生産台数で1万3300台・販売額で92億円と現地で報じられている。
 マルチ・スズキでは、[1]食堂は管理職と従業員が共同利用する[2]管理職と全従業員は同じ制服を着用する――など日本的経営を導入し、経営としては一定の成果をあげていた。しかし労働組合の企業内組合化についてはインドの労組組織となじまず、マネサール工場では既存のナショナルセンターや産業別組織と連携するMSEUが組織化に成功した。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.