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No.74(2011/5/20)
香港で最低賃金法制化
 明報などの香港メディアは、1999年立法化が提案されて以来、長年の課題であった香港の最低賃金制度が5月1日、メーデーに法制化されたと報じた。
 法制化された最低賃金制度は、時給28HKドル(約294円)を保障しているが、労働組合は33HKドル(約346円)を要求していた。各労働団体はその差額が大きいことから今後の引き上げを課題としているが、中小企業の反発は強い。この制度により約30万人におよぶ労働者が恩恵を受けることが見込まれる。
 香港メディアは「レッセフェール(自由放任主義)を経済成長の旗印としてきた香港に新たな歴史が刻まれた」と評価している。
 親中派労組の香港工会連合会(FTU・呉秋北会長)は、メーデーでこの制度改革を歓迎。デモ行進(主催者発表では4000人、警察発表では2500人が参加)を行い、集会では政府に対し、[1]最低賃金水準の早期引き上げ[2]基準労働時間の立法化と退職後の生活保障――を求めた。またITUC加盟の香港職工会連盟(HKCTU)も同日デモ行進(参加者は主催者発表で3100人、警察発表で2000~2300人が参加)を行い、李卓人書記長は「次の目標は団体交渉権の確立である。インフレが進行する中、生活水準を守るため、企業の利益を従業員と分かち合うことを望みたい」と述べた。
 香港の失業率は3.4%と低い数値だが、この最低賃金制度導入で、飲食店を中心にリストラが行われ、失業率を0.4%悪化させるとの予測(労働・福祉局の張建宗局長)も出されている。香港の経財界が最も注視していることは、ライバルのシンガポールに最低賃金制度が制定されていないことである。シンガポール政府によれば、「最も低い賃金水準は清掃労働者の750シンガポールドル(約5万円)だが、生産労働者や小売店労働者は1200シンガポールドル(約7万9200円)以上で杞憂に近い」と述べている。
 香港にはフィリピン人の家政婦労働者がいるが、最低賃金制度の対象にならず、別途、毎年定められ、最低賃金は3580HKドル(約3万7600円)とされている。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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