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No.36(2010/6/10)
ブルガリアの経済危機対策に政労使が合意

 ブルガリアでは政労使で構成される「政労使協力全国協議会(NCTC)」で集中的な論議の末、2010年3月、新たな経済危機対策に合意した。政労使の新たな施策は、[1]雇用[2]生活費[3]産業[4]国家財政――に関するものである。
 ブルガリアのナショナルセンターである、ブルガリア独立労組連盟(CITUB)とブルガリア労働同盟( PODKREPA)は2010年2月、政府の経済危機対策に反対の意向を表明し、2組織で経済危機対策案を作成、6つの使用者団体代表との交渉を行った。この交渉の結果、労使は双方が提出した案について、ほぼすべての面で合意し、3月中旬、労使代表は50項目からなる施策を政府に提出、NCTCでの審議を提案していた。
 NCTCにおける交渉は3月23日からはじまり、積極的な論議の末、591の施策から成る経済危機対策パケージ協定をつくりあげ、3月30日に政労使代表が署名した。交渉のテーブルには政府側から43、労使から50の対策案が提出されていた。このパケージのなかでも雇用や物価に関する主な施策は、[1]2010年7月実施の最賃引き上げに関するメカニズムをつくる[2]国が規制している物品、公的サービス料金引き上げの一時的な制限[3]失業給付を現行の120ユーロの制限を撤廃し、失業前の所得の60%とする[4]労働者の実質所得を確保するために食糧券を提供する制度活用を延長する[5]産業別労働協約を各産業と業態のすべての企業に適用する権限を労働社会政策省大臣に付与する――などである。
 一連の交渉を通じて、「建設的な論議と協力の姿勢と相まって、政労使の間に相互信頼の精神が醸成されたことは歓迎すべきことである」と評価されている。交渉のプロセスをみると政労使とも合意形成のため、譲歩と妥協を行ってきた。政府は健康保険の労働者の拠出金引き上げや働く年金受給者への課税案を断念することとなった。
 ブルガリアは1991年から市場経済移行のために経済改革を開始したが、2007年1月よりEUの正式加盟国となったが、その前後から民主化推進のプロジェクトが政府や労働運動に対して行われてきた。労働運動においては、ノルウェーがパートナー組織となり、ブルガリア独立労組連盟(CITUB)が、ノルウェー労働総同盟(LO)の支援を受け、ブルガリアにおける社会的対話促進プロジェクトを進め、[1]運輸[2]金属[3]保健分野の訓練・セミナーなどは実施済みである。各産業別労働組合の労働条件委員会を対象に6分野でノルウェー・モデルをもとに、パイロットプロジェクトを立ち上げているが、LOの支援プロジェクトには労働社会政策省も対象に含まれている。

参考資料:eironline

ポルトガル公務員労組のストライキ

 ポルトガルの公務員労組は、2010年3月4日、政府の賃金凍結と年金削減案に抗議し、大規模なストライキに突入した。
 ストライキの呼び掛けはすべての公務員に対して行われ、[1]中央行政[2]教育関係[3]厚生関係[4]自治体――などを含め、80%の公務員が参加したと言われている。ポルトガル政府は、財政赤字比率を国内総生産に対し、2013年までに3%に圧縮することをEUから要求されており、2010年度予算案では、財政赤字削減策の一環として、公務員の賃金凍結と退職年金の削減を提案している。特に年金については、定年前の早期退職者に対するペナルティーを厳しく課し、現行の年当たりの削減額4.5%を6%に増額する。このため、公務員労組の大規模な抗議行動が展開されたが、ポルトガル議会は3月12日、2010年度予算案を可決した。
 ポルトガルの公務員を代表する労働組合は、ポルトガル労働総連合(CGTP)に加盟する公務員労組共闘(FC)、ポルトガル労働総同盟(UGT)加盟の公務行政組合フロント(FESAP)と公務技術サービス労組(STE)の3組合。また、FCは公務員の連合組織として最も影響力があると言われている。
 政府に対する2月5日の全国規模のデモには約5万人の公務員が参加し、FCは、政府の「賃金凍結と年金カット提案に絶対反対」の立場を表明していたが、2月9日に行われた、財務大臣との交渉では、[1]公務員の賃金凍結[2]退職年金の削減――の2点については交渉を行わないことを通告された。そのため、FCは全国の公務員に3月4日に、全国ストライキに入ることを指令した。また、STEとFESAPもそれぞれの全国の組合員に2月18日、ストライキへの参加を呼び掛けた。
 この全国的なストライキには、約30万人が参加したと言われており、 約80%の公務員が参加したことになる。これは2007年に3組織(FC・FESAP・STE)によって行われたストライキ参加状況に近いと言われる。特に、自治体と福祉サービス部門の参加は90%に達し、教育や厚生関係は約80%であった。また、「CGTPとUGTのナショナルセンターの枠を越えて全国的なストライキという形で労働者の抗議の意思を統一できたことは大きな意義があった」と高く評価されている。政府は賃金凍結を2013年まで延長するのではないかと組合は警戒している。早期退職に対する年金削減については現行の法規から実施は2015年からとなる。

 参考資料:eironline

発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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