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No.35(2010/6/3)
マレーシアの労働3法改悪

 マレーシア労働組合会議(MTUC)・ラジャセカラン事務局長は、「人的資源省(労働省に相当)が議会に提案している『労働関係3法』の修正案が経営者寄りになっている。さらに「雇用法1955」、「労使関係法1967」および「労働組合法1959」の修正案が議会を通過した場合、労使関係の改善どころか、この国を40年前に後戻りさせることになる。これは過去40年間で、最悪の『労働関係法』の修正案である。可決されれば、『雇用法』の主要な変更点の1つである従業員の労働時間変更に関して、使用者に自由な裁量を与え、大多数の労働者の就業時間を不安定なものにすることになろう」と述べ、反発を強めている。
 ラジャセカラン書記長は「この修正案では、1日の労働時間が午前9時~午後5時までの労働者は修正案が通過した場合、[1]使用者はこの労働時間を月曜日は午前9時~午後5時まで[2]水曜日は正午~午後8時まで[3]金曜日は午後3時~深夜12時まで――とすることができるようになる」と説明した。
 現在、マレーシアでは、会社が労働組合を認めた場合、その労使は期限のない労使関係を続けている。しかし、人的資源省は『労働組合法』において、5年ごとに「労働者の組合代表制」とすることを使用者に認めさせようとしている。
 最後にラジャセカラン書記長は「マレーシアの労働組合の組織率約10%程度であるため、まだ、強い組織力があるとは言えない。このような修正案が議会で通過した場合、労働協約を交渉する労働組合の組織力をさらに弱体するだろう。人的資源省はこうした悪意をもった修正案を海外の投資家や多国籍企業を喜ばせるために提案している。こうした圧力をマレーシアの国内企業が人的資源省に与えることはできない。MTUCは5月中にも加盟200組合の代表を招集し、この悪名高い修正案を討議し、行動計画を採択する方針である」と述べた。

マレーシア経済の高成長

 アジア開発銀行が発表した「アジア経済成長率予測」より、マレーシアは成長率を大幅な上方修正を行った。ナジブ首相は「日系企業の投資が多い電機・電子セクターが寄与している」と述べた。
 また、シンガポールの「ストレイト・タイムス」(5月13日付け)は、ナジブ首相の発言を以下のように報じている。
 「マレーシアの経済では、2010年・第1四半期は前年比10.1%となる成長を遂げた。この実績は過去10年間で最も高い数値であり、年率6%の成長軌道に乗っている。この好ましい成長のパフォーマンスは政府が一体となって、政策を進めた成果であり、2010年6%の成長を目標とした「経済改革政策」は達成可能となった。成長は強い内需とグローバル経済の回復に支えられている。2010年1~3月の結果は予想を超えるもので、2009年・第4四半期の成長率4.4%の改定に続くものであり、11.7%の成長を遂げた2000年・第1四半期以来、最も高い記録だ。
 すべての主要部門で高い成長を遂げたが、特に製造業部門では16.9%も成長し、電機・電子関係と輸送用設備、木製品が数字を押し上げた。サービス部門も強いパフォーマンスを示し、8.5%の成長を記録しており、建設部門は8.7%、農業部門は6.8%の伸び率であった。一方、設備投資は投資マインドが改善し、5.4%と強い伸びとなった。第1四半期、輸入は27.5%伸びたのに対し、輸出は19.3%の増となり、欧州の悩ましい事態は2010年のマレーシアのパフォーマンスに影響を与えることはなく、今年度の6%の目標値を達成できる」と述べた。
 また、同紙は「欧州の危機はアジアの成長に打撃をあたえるか」との概要を以下のように報じている。
 「オーストラリアの準備銀行(RBA)・フィリップ・ロウェ副理事長は、EUのギリシャ対策は幾分投資家の信頼を回復したが、疑問に思われる点は浮上してくるだろう。ギリシャ支援を公的資金で行えば、支援国の成長を圧迫することになり、グローバルにリスク回避され、アジアの繁栄にも重荷になる。リスクがどう展開するか、慎重に注意深く将来にわたり、注視する必要がある。さらにオーストラリアはアジアの一員として有利な立場にあり、柔軟な政策で対応できる。オーストラリアは世界金融危機から、アジアの強い回復で恩恵を受けており、アジア経済成長の下支えを行っている資源の需要に応えている」と強調した。

アジア開発銀行・経済成長率予測

  2006 2007 2008 2009 2010予測 2011予測
EastAsia 9.4 10.4 7.3 5.9 8.3 7.7
中国 11.6 13 9.6 8.7 9.6 9.1
香港 7 6.4 2.1 -2.7 5.2 4.3
韓国 5.2 5.1 2.3 0.2 5.2 4.6
モンゴル 8.6 10.2 8.9 -1.6 7 6.5
台湾 5.4 6 0.7 -1.9 4.9 4
SouthAsia 9 8.7 6.4 6.5 7.4 8
アフガン 8.2 12.1 3.4 15.1 7.6 6.8
バングラ 6.6 6.4 6.2 5.9 5.5 6.3
ブータン 6.7 13.5 11.8 6 6 6.5
インド 9.7 9.2 6.7 7.2 8.2 8.7
ネパール 3.7 3.3 5.3 4.7 3.5 4.5
パキスタン 5.8 6.8 4.1 2 3 4
スリランカ 7.7 6.8 6 3.5 6 7
SoutheastAsia 6.1 6.5 4.3 1.2 5.1 5.3
カンボジア 10.8 10.2 6.7 -2 4.5 6
インドネシア 5.5 6.3 6 4.5 5.5 6
ラオス 8.7 7.8 7.2 6.5 7 7.5
マレーシア 5.8 6.2 4.6 -1.7 5.3 5
ミャンマー 7 5.5 3.6 4.4 5.2 5.5
フィリピン 5.3 7.1 3.8 0.9 3.8 4.6
シンガポール 8.7 8.2 1.4 -2 6.3 5
タイ 5.1 4.9 2.5 -2.3 4 4.5
ベトナム 8.2 8.5 6.2 5.3 6.5 6.8
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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