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No.25(2010/3/25)
スウェーデンの2010賃上げ交渉

 欧州連合(EU)諸国の賃上げ交渉が厳しい経済環境の中ではじまっている。EU諸国の労働組合で結成されている欧州労連(ETUC)は、2009年12月に傘下の労働組合の賃上げ交渉に向け、政策方針を決定している。
 ETUCは2010年の賃上げ交渉で「賃上げか雇用かを迫る経営側に対しては、国を越えた密接な情報交換と連携を図り、交渉力を強化しよう」と呼び掛けている。ETUC本部は直接的に労使交渉を行わず、各国の労使交渉の経過を見守り調整することで全組合をまとめるとしている。
 ETUCの有力な加盟組織であるスウェーデン労働総同盟(LO)は、2010年労使交渉に対する基本方針を2009年12月に決定した。現在、スウェーデンの団体交渉はほとんどが3年毎に行われ、前回の交渉は2007年であった。そのため、2010年には全労働者の90%が適用される500~600の労働協約の改定交渉が行われる。
 また、LOが基本方針に併せ、次の声明を発表し、「2010年の交渉では、今まで以上に労働組合の連帯強化が求められており、傘下の産別間の連帯の中で、労使交渉を強力に進めることを宣言している。この背景には経営側が金融危機に乗じて労働者の諸権利を弱体化し、“スウェーデンモデル”とも言われる中央労使協定の重要性を軽減しようとする動きがある。経営側が示唆している賃上げゼロは、この経済危機の影響を労働者に押し付けようとするものである」と述べ、約3%の賃上げを要求している。また、「もし団体交渉が経営側の思惑どおりとなった場合は、スウェーデンの経済と競争力に深刻な結果をもたらすことになるだろう」と警告している。
 経済分析をしている政府機関・国立経済研究所(KI)は「デフレと高い人件費の均衡を図るためには1.0~2.5%の賃上げになるだろう」と予測している。
 その他にもLOは「ジェンダー平等」を2010団体交渉のもう一つの重要な交渉事項としている。「スウェーデンの女性の労働力参加率は、非常に高い水準となっているが、女性が多い職場と男性の多い職場を比較すると不平等な問題がある」として、改善を要求している。金融危機は労働市場の縮小をもたらし、多くの女性労働者がパートタイム労働に追いやられている。しかし、パートタイム労働では生計費を賄うだけの収入にはならない。このような現状を踏まえ、スウェーデンの団体交渉は3月末までにはじまる。

発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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