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No.12(2009/12/22)
労働法の改悪による韓国労総の対応と連合の激励行動
 韓国では、1996年に国会を通過した『労働組合及び労働関係調整法』により「複数労組の設立を許容する」ことや「企業からの労組専従者賃金の支給禁止」することが決定されている。しかし、その施行は紆余曲折の中で先送りが繰り返され、13年を経た現在においても実現していない。但し、現行の立法措置のもとでは、別の措置が講じられない限り、来年1月1日に発効することとなっており、その期限を前に、具体的な施行内容をめぐって、労働組合と政府が鋭く対立している。
 韓国労総(FKTU)と民主労総(KCTU) は、政府が主張する「企業レベルで複数労組が設立された場合の団体交渉の窓口一本化」は『労働基本権』を阻害するとして反対を唱えている。また、「企業からの労組専従者賃金の支給禁止」に対しては、これは、ILOが結論づけているように、労使が自律的に決めるべき問題であって、法律で禁止することは不当であるとの立場を鮮明にしている。
 韓国労総は、公園(汝矣島文化の広場)にテントを張り、11月9日から昼夜を問わずの闘争を開始し、組合の主張が通らない場合には“ゼネスト”も辞さないとしている。
 連合・古賀会長は、この問題をめぐる政労使代表会議の交渉期限(11月25日)を目前に控えた11月22日、ジャング・ソクチュン委員長をはじめ、公園で闘争を続ける韓国労総の仲間を激励し、韓国労総の主張を全面的に支持することを表明した。
 なお、11月中旬に開催されたTUAC(OECD労働組合諮問委員会)総会およびITUC-AP(国際労働組合総連合・アジア太平洋地域組織)執行委員会は、この労働基本権をめぐる韓国の問題についてそれぞれ決議を採択し、韓国の労働組合を全面的に支援するとの姿勢を表明している。
韓国の労働組合及び労働関係調整法の合意
 韓国労総(FKTU)と韓国経営者総協会(KEF)、労働省からなる三者委員会は『労働組合及び労働関係調整法』について合意に達した。しかし、民主労総(KCTU)は依然として強く反対しており、法制化にはまだ予断を許さない状況が続いている。
 「複数労組制」の実施について、その施行は2012年7月となり、猶予期間が設けられた。また、複数労組のある企業は団体交渉窓口の一本化を行うことにも合意し、交渉の効率化を図るが、少数組合が不利にならないように配慮する。
 次に「企業からの労組専従者賃金の支給禁止」は2010年7月から禁止されるが、「タイムオフ制度」を実施し、苦情処理や労働安全衛生問題、団体交渉など必要な時間については組合役員の賃金は支給される。
 今回の三者委員会の決定で13年越しの問題を解決したことは、韓国の労使関係に大きな意義をもたらした。今後、健全な労使関係がすべての産業に根付くことを期待し、政府は法制化に努力すると三者委員会は表明した。
 与党・ハンナラ党は12月7日に総会を開き、三者委員会の合意事項を承認し、『労働組合及び労働関係調整法』の改定を8日の国会に提出した。
 しかし、KCTUおよび野党は三者委員会の合意に強く反発し、「この合意は労働組合の破壊に通じ、労働者と人民の権利を奪うものである。複数労組制実施を先延ばしにしたことは団結権の侵害であり、タイムオフ制は労組専従役員の賃金支払い禁止に繋がる」と批判している。また、野党の民主党や民主労働党は「三者合意の法制化は労使の自主性を過度に規正するものだ」と反対姿勢を強めているため、国会での審議は難航することが予想される。しかし、FKTU・ジャング ソクチュン委員長は11月30日に記者会見を開き、「政府が複数労組制の実施の延長を決定したことと、FKTUがタイムオフ制度を受け入れたことが、12月4日の合意につながった」と述べた。
 この二つの問題は13年間も国会で結論が出ず、政労使6者からなる委員会で合意を探ってきたが、あまりにも大きな隔たりがあり、現在まで合意に至らなかった。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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