現地支援事業

外務省 日本NGO支援無償資金協力事業 実施プロジェクト

フィリピンにおける
労働組合による労働安全衛生(POSITIVE)活動実施報告書

実施事業概要

1.POSITIVE地域セミナー

(1)POSITIVEトレーナー養成セミナー(ビサヤ・ミンダナオセミナー)
実施時期 2006年7月5日~8日の4日間
開催地 セブ市
参加者人数 27名
日本からの派遣者 城 憲秀 専門家、鈴木 宏二 現地支援事業部長
(2)POSITIVEトレーナー養成セミナー(ルソンセミナー)
実施時期 2006年7月10日~13日の4日間
開催地 ケソン市
参加者人数 22名
日本からの派遣者 城 憲秀 専門家、鈴木 宏二 現地支援事業部長

2.POSITIVE地域レベルセミナー

実施時期 2006年8月19日~2007年2月10日の間
開催地 ルソン、ビサヤ、ミンダナオ各地
参加者人数 計51回開催・参加者総計1,047名
日本からの派遣者 吉川 徹 専門家、鈴木 宏二 現地支援事業部長
モニタリング期間 2006年10月8日~15日の8日間

3.POSITIVE評価会議(全国)

実施時期 2006年12月19日~2007年2月10日の間
開催地 ケソン市
参加者人数 25名(ルソン17名、ビサヤ2名、ミンダナオ6名)
日本からの派遣者 城 憲秀 専門家、鈴木 宏二 現地支援事業部長

4.器材供与

(1)ラップトップコンピューター
供与場所 TUCP本部(ケソン市)
台数 上記箇所に1台
(2)デジタルカメラ
供与場所 TUCP本部
台数 上記箇所に計3台(TUCP本部で管理し、必要に応じて貸し出し)
(3)カラープリンター
供与場所 TUCP本部
台数 上記箇所に2台

5.教材作成

(1)トレーナーズマニュアル(ビサヤ語版):300部
(2)アクションマニュアル(ビサヤ語版):300部
(3)リーフレット(英語版):2000枚
(4)リーフレット(ビサヤ語版):2000枚
(5)トレーナー用ガイドブック(英語版):500冊
(6)トレーナー用ガイドブック(ビサヤ語版):500冊

実施事業詳細説明

1.POSITIVEトレーナー養成セミナー

(1)目的
  • これまでに国際労働財団が支援して育成してきたコアトレーナーによる各地域におけるトレーナー育成
  • 供与器材を用いたコアトレーナーのスキルアップ
(2)実施内容(現地:NARRATIVE REPORT添付)
  • ビサヤ・ミンダナオセミナーはビサヤ中央のセブ市で開催し、地元セブ市から8名、ミンダナオ島から16名、その他のビサヤの島から3名(各種産業からバランス良く参加)の計27名、ルソンセミナーはマニラ周辺の工業団地等(日系企業含む)からの22名の労働組合役員を対象に行われた。(参加者名簿添付)
  • トレーニングは、「資材の運搬・保管」、「安全な機械操作」、「作業場」、「作業環境」、「福利厚生施設」、「環境保護」の6つの研修分野について行われた。(スケジュール添付)
  • セミナースケジュールは、「訪問工場でのアクションチェックリストエクササイズ」→「各研修分野の説明」→「訪問工場の良かった点と改善点各3点をグループディスカッションで決定し、発表」→「アクションプランの策定」を中心に行われた。講義形式ではなく、参加者が積極的にセミナーに参加できる参加型セミナーであった。 (参加者によるグループ討議結果添付)
  • 各セッションのファシリテーションは、現地コアトレーナーが行い、研修の進行は参加者で作った各グループが担当した。城専門家は、コアトレーナーのファシリテーションを客観的に評価し、必要に応じてコアトレーナーにアドバイスや、参加者からのプレゼンテーションについて技術的なアドバイスを行った。
  • 参加者からの行動計画発表では、各参加者から積極的な行動計画(行動計画の一部添付)が発表され、TUCP及びJILAFからは今回のプロジェクトの枠組みとスケジュール(今後地域レベルセミナー、評価会議を実施すること等)を説明し、具体的な活動について議論・まとめを行った。
  • 参加者へのセミナーについてのアンケート(結果添付)、各参加者の職場の労働安全衛生の状況についてのアンケート(結果添付)を実施した後、閉会式を行いセミナーを終了した。

 

2.POSITIVE地域レベルセミナー

(1)目的
  • トレーナー養成セミナーで新たに育成した新トレーナー50名や、フィリピン国内で中核的存在として労働安全衛生活動を実施しているPOSITIVEトレーナーが各地域において、職場の労働組合安全衛生担当者等を対象に1日セミナーを実施し、裨益を実際に職場で働く労働者に普及させ、併せて労働者の意識改革も図る。
  • トレーナーが実際に活動する機会を提供することにより、トレーナーの技能向上や改善事例の収集と評価会議の場での経験交流・情報交換をより充実したものにする。
  • 地域レベルセミナーの実施状況や実施前、実施後の職場を訪問するモニタリングの実施により、JILAF、TUCPともにトレーナーの活動状況を把握するとともに、効果的なアドバイスや経営側への理解活動の側面支援など、職場で活動するトレーナー達を勇気づける。
(2)実施内容(活動報告書の一部を添付)
  • トレーナー養成セミナー終了後の2006年8月19日からプロジェクト終了前の2007年2月10日までの約半年の間、12月の評価会議でトレーナーのスキルアップも図りながら、総計51回の地域レベルセミナーを開催し、職場で労働安全衛生を担当する労働組合役員総計1,047名が参加しトレーニングを受講した。
  • トレーニングは合計40回の開催計画に基づき、職場によっては2回~3回に分けて実施するなど、職場の事情に合わせて効率的に実施された。
(3)成果
  • POSITIVEトレーナー養成セミナーでトレーニングを受けたトレーナーが、実際に職場で活動する労働組合役員を集めて、チェックリストを持って一緒に現場を歩くとともに、労働安全衛生の基礎や考え方、手法をトレーニングし、また他職場の良い改善事例(低コストで出来る簡単な改善事例)を紹介することで、職場・現場レベルへの波及をすることが出来た。
  • 実際に、各地の中小企業の職場からも改善事例が報告され、さらにその改善事例を参考にして他の職場でも改善がなされるなど、フィリピン各地において相乗効果により改善がすすめられつつある。(改善事例写真添付)
  • 先進事例を提供した大企業の労働組合はもとより、中小企業の労働組合でも本プロジェクトで作成したリーフレットその他の器材や、他社における改善事例を利用して労使での話し合いがなされるようになり、労使関係の改善にも寄与することができた。
  • 地域コミュニティーの中で家族や地域を支える現場の労働者が、労働安全衛生についての知識を得て、意識改革が進むことにより、更なる効果が期待できる。

3.POSITIVEコアトレーナー育成セミナー

(1)目的
  • フィリピン国内及び各地域で中核的な存在として労働安全衛生活動を推進できる人材の育成
  • コアトレーナーの間の情報交換など経験交流とスキルアップ
(2)実施内容(会議報告書添付)
  • 計50名の地域セミナー参加者及び、既に育成してきたトレーナーの中から、地域セミナー参加後の活動実績等を判断し、参加者25名及び事務局4名、日本から専門家とJILAFスタッフ各1名が出席し研修を行った。尚、改善活動実績と報告を参加条件とした。
  • セミナースケジュールは、「工場見学とチェックリストエクセサイズ」「写真やイラストを用いたコアトレーナーの改善活動報告」、「フィリピンにおけるPOSITIVEプログラムによる裨益効果の確認」(KJ法)、「各技術領域(6分野)の実践演習」「他国の経験学習」、「フィリピンのOSH政策とプログラム」「職場における危険要素分析」「薬品の分別とラベリング」「ILOのOSHについての取り組み」そして最後に「今後の行動計画策定」を策定し全体討論を行って終了した。
  • 地域セミナーと同様に、セミナーのファシリテーションは、現地コアトレーナーが行った。「フィリピンにおけるPOSITIVEプログラムの裨益効果の確認」セッション及び技術的なアドバイス(随時)、その他のスキルアップ教育に関しては、城専門家により行われた。
(3)成果
  • 一年間の総括としての本セミナーにおいて、地域セミナー受講時点ではトレーナーの卵であった参加者や既存のトレーナーが、自主的な活動を通してコアトレーナーとして活動していくであろう事を確認することができた。会議では114件の改善報告や改善途中の事例51件が報告され、各職場においてセミナーを主催しトレーナー育成を行っている事等が確認できた。
  • 各参加者は、他のトレーナーの経験(改善活動)や城専門家の講義、OSHセンター及びILOの講義から、より一層の情報収集とスキルアップを図る事ができた。

4.器材供与

(1)目的
  • 教材作成及びセミナー開催のため
  • プロジェクト実施中の諸活動及びプロジェクト期間終了後の継続的活動のため
(2)実施内容
  • 予定された器材供与が、予算に基づいて計画的に行うことができた。
  • 保管場所については、TUCP本部教育局が一括管理し、加盟組織・地域の活動に合わせて貸し出しすることとした。管理責任者は、当初申請どおりアリエール教育局長とした。
    ODA広報の観点から、ODAシールを全ての供与器材に添付した。
  • 供与器材は、予定どおり事業期間終了後、CMTUに譲渡することとし、別紙のとおりCMTUと譲渡契約書を締結した。
(3)成果
  • 2006年10月のモニタリング、12月の評価会議および2007年2月の報告書において、トレーナーが供与器材を活用して改善事例写真の収集やプレゼンテーション資料の作成を行っている事を確認した。

5.教材作成

(1)目的
  • 自主的なPOSITIVEセミナー実施のため
  • プロジェクト実施中の諸活動及びプロジェクト期間終了後の継続的活動のため
(2)実施内容及び成果
  • フィリピンの改善事例写真を活用したビサヤ語版(主にフィリピン南部で使用されている言語)のマニュアルが予定どおり作成されたことを確認した。
  • コアとなるトレーナーが各地域において自主的にトレーニングを企画・実施できるよう、トレーナーガイドガイドブックを作成し、日本からは英語版を送付、現地ではビサヤ語版を作成し、地域レベルでのトレーニング実施に活用した。
  • 各企業の経営者や関係組織への理解促進や説明資料としてリーフレット(英語版、ビサヤ語版)を作成し、地域レベルでのトレーニング実施や、新しくPOSITIVEプログラムを用いて労働安全衛生活動を実施する企業への説明に活用した。

総括

  • 具体的には、一年間で新たにトレーナーを育成し、そのトレーナー達が実際に現場でトレーニングの成果を実践し、さらに彼らをコアトレーナーとして育成するべくスキルアップ教育を行うという計画を確実に達成する事ができた。
  • これは、現地労働組合の協力、日本人専門家の側面的な指導、必要かつ十分な供与器材と教材の提供により実現できたと言える。これにより、我々の支援により労働者や労働者の代表が中心となって労働条件の改善に自主的かつ積極的に関与していくための地盤(人材育成)を築くことができたと言える。