2014年ラオスの労働事情
2014年10月24日 講演録
ラオス労働組合連盟(LFTU)
報告者:リー ソウマリー ホンカムディー
ラオス労働組合連盟書記
1.ラオスの労働情勢(全般)
現在ラオスの人口は625万6000人である。14歳から60歳までの労働力人口は302万1212 人である。正規労働者数は62万8204人でうち女性は26万4901人、労働組合員数は19万5015人である。農業就労者は36万4200人で内15万2363人が女性、工業就労者は2万6708人で内 1万1173人が女性、サービス業就労者は9万4693人で、うち3万9614人 が女性である。事業所数は1万8600にのぼる。現在最低法定賃金は、一カ月あたり62万6000キープ(約9202円)。労働時間は、週6日で一日8時間まで、あるいは週に48時間までと決められており、就労者には週に最低一日の休日を取る権利がある。祝日は政府が指定する。
2.労働組合が直面している課題
現在ラオスの労働組合は次のような問題を抱えている
- 自らの権利と利益に関する法律の知識が労働者に欠如している。
- 職場において、労働協約と個人契約が欠如している。
- 労働技能開発が市場の需要として確立されていない。
- ラオスの若者が主に違法なルートを通じて近隣国で職を求めるなどの労働問題が依然存在する。
- 長時間労働をする労働者を求めるような雇用主がいる。
- 就職に先立って雇用契約を結ぼうとしない従業員がいる。
- 労働法や労働組合法への配慮とその実施を怠る雇用主がいる。
- 労働組合の活動費が十分ではない。
- 出稼ぎ労働者が存在する。
- 工場内に労働組合推進者が不足しているため、工場での労働組合結成が困難である。
3.課題解決に向けた取り組み
- 労働法、労働組合法、その他労働関係の法的文書に沿うように、工場の規則を改善する。
- 職場の安全と健康について労働者への教育活動を行なう。
- 海外からの投資家に対し、組合活動に参加および協力し、工場の労働組合結成を認めるよう働きかける。
- 労働組合員数を増やす。
- 宣伝活動を行ない、関係法令を従業員に周知させる。
- 就職に先立ってキチンと雇用契約を結ぶよう労働者に求める。
- 草の根労働組合のために、労働争議調停についての講習会を開催する。
- コンサルテーションと経験共有のための会議を年1回開催する。
- 労働協約の目的と、労働法、労働組合法、労働関連の政令実施に対する、雇用主の理解を深める。
4.労働組合として取り組むべき主要優先課題
- 団結へのキャンペーンおよび促進活動を行なうと共に、労働組合員、従業員、労働者、学生に対する講習を実施し、政治的積極性と法規尊重姿勢を植え付ける。
- 組合員と労働者に対し、政治と科学知識に関する講習と教育を行なう。組合員とその責任下の組織体制の発展、拡張、管理を進める。
- 雇用主に対し、労働者の技能向上のための技術教育を行ない、職場の安全を確保し、労働者に規定の健康診断を受けさせるよう求める。
- 法律問題の相談に対応し、労働者の労働争議に関する依頼を受け仲裁を行なう。
- 各政党、政府、ラオス国家建設戦線、その他大衆組織(mass organizations)との調整、協調作業を行なう。
- 労働組合が取り組む問題として 公労使三者間協議に対し、法定最低賃金の月額80万(約1万1760円)~88万キープ(約1万2936円)への引き上げと、インフォーマルセクター労働者の保護を求め、公労使三者間協議において労働法の改正に向けた討議を行なう。
*1キープ=0.0147円(2015年1月5日現在)