コロンビアの労働組合が大統領の労働改革支援に48時間ストライキ
5月20日と6月4日のコロンビア・ワンおよび5月28日のワシントン・ポストは「コロンビア最大の労働組合がグスタフ・ペトロ大統領提案の労働法改革への国民信任投票を支援するため、5月28日に48時間ストを行った。また6月3日には大統領が信任投票の布告実施を確認した」と報じた。本記事は5月20日のJILAF記事の続報である。
大統領は8時間労働や残業割増増額、病気休暇などの労働改革を提案してきたが、産業界の意向を受けた保守派優勢の議会がこれに反対、3月には2度目の提案が議会に否決された。その後の5月1日、大統領は12項目にわたる改善点を国民の判断に委ねる信任投票を提案したがこれも議会により49対47で否決され、大統領は労働者による示威運動を呼びかけた。
ストライキについて、最大労組の労働者統一連合(CUT)アリアス会長は「ストライキは怒りが溜まった大衆による議会への反応を示すものだ。反労働者的法律の継続をいつまでも容認できない。労働者の権利回復へのメカニズムとしての信任投票を要求する」と述べて300万人の参加を期待しているが、同時に平穏かつ無暴力を呼びかけている。
ストライキはコロンビアの主要都市で展開され、首都ボゴタでは公共バスの運行が阻害されるなどした。内務大臣は「大統領は議会承認がなければ6月1日に信任投票実施の布告を出す」と言明したが、憲法では信任投票実施には議会の承認が必要とされ、これはすでに否決されている。
こうした大統領と議会との対立は2022年の大統領当選時から続いてきたが、中道左派の大統領が来年の再選を控えた今、再度激しさを加えている。ロスアンデス大学のバスケス教授は「議会は労働法改革を否決することで政権に打撃を与えたが、大統領は逆に議会が政治改革促進への障害になっているとの口実を掴むことになった」と語る。
その後、議会から信任投票の数点について妥協案が提案されたが、大統領はこれを拒否。直接国民投票に問う構えを崩しておらず、6月3日には信任投票の布告を確認すると言明したが、憲法違反か否かを巡って議会との緊張が続いている。
筆者調べだが、コロンビアの労働時間は世界最長第6位(ILO)、2020年の失業率は15.9%、60年以上続く内戦では最初の10年だけで20万人、これまでに45万人以上が死亡したと言われるなかで、多くの労働組合関係者も殺害されて、ILOから世界最悪と指定された。
2022年ー23年のJILAF中南米資料でも貧困の大幅な増加、政府や使用者による労働組合敵視、非組合員優遇による組合員との格差拡大、企業による最低賃金や社会保険などの労働法規の無視横行が指摘されている。
以上