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スウェーデン・テスラ・サービス工場のストに各組合が支援体制、ドイツでは賃上げ同意

2023.11.20掲載

11月7日のニューヨーク・タイムズ(NYT)、エレクトレク(ELC 電機業界のニュース・ウエブサイト)などが「スウェーデン・テスラ自動車の12か所のサービス工場において130人によるストライキが起きたが、これに対し全国の各組合が支援を表明した」と報じた。

特徴的な点はスウェーデン経済を支える労働モデルを守るための支援体制ということだが、スウェーデンでは全国の労使が産業別に労使交渉を行い、賃金・諸手当・労働時間などについて90%の労働者をカバーする形で労使協定を結んでおり、国の経済発展と安定には欠かせない制度と言われる。

テスラ自動車の12か所のサービス工場でのストライキは10月27日から始まったが、主導する全国組合のスウェーデン金属産業労働組合(IFメタル)(30万人)は同労組の団体協約への同意を要求している。
これに対してテスラ側は「スウエーデン労働市場の規約には従うが、IFメタル労組がこのような手段に訴えたのは不幸なことだ。会社は団体協約と同等ないしそれ以上の提案を行っており、それ以外の協約に署名する理由はない」と答え、代替労働者を雇っている様子が窺える。

こうした状況に、スウェーデン国内の港湾労働組合は今までの4つの港に加えて、来週から全港湾でテスラ自動車の搬入阻止を図ると言明。電機労働組合は11月17日から全国213か所のテスラ充電設備へのサービスや修理には協力しないと声明。建物維持管理労働組合はテスラ施設の清掃を拒否すると言明した。
各組合は「テスラ労働者の労働条件改善だけではない。スウェーデン伝統の労使団体交渉という労働システムを守ることが重要だ。金属労組や運輸労組だけの問題でなく、スウェーデンの全体モデルが危機に曝されている重大な問題だ」と強調する。

世界に127千人従業員を持つテスラ自動車だが、イーロン・マスクCEOは労働組合結成の声に拒絶の姿勢を貫いている。その中で、2013年にスウェーデンに進出したテスラに労働組合を結成したIFメタル労組は「テスラ労働者には、産業別団体協約を下回る場合の、年次昇給や健康保険改定、また、年金や諸手当の改定もない」と指摘する。

テスラへの反対は、労働組合だけでなく、ストックホルム・タクシー会社にも広がっており、同社は広告の中で団体協約制度の擁護を謳いながら、テスラへの新規発注停止を言明した。

以下はスウェーデンの労働事情についてのELCのコメントだが、「このような小規模(130人)のストライキは玩具のトイザらス(80人)で、産別団体協約を拒否した会社に対しても起きていた。そのストライキは、多くの産業別労働組合に展開され、その結果、スウェーデンは、トイザらスが労働組合を承認している唯一の国となった。
こうした労働慣行から、同国では団体協約を受け入れた経営を行う会社が多く、ストライキは少ない。なお、上記企業における実際の組織化状況だが、欧州データ・プライバシー規則により、誰が組合員なのかを明らかにする必要はないとなっている。
スウエーデンの中位賃金は国際的にも高く、質の高い生活と労働保護が評価されているが、これらの保護は団体協約が90%の労働者に適用、標準化されることで実現されており、強力な労働組合に守られた労働者には実質的な最低賃金法などの法律の必要がない。

なお6日のウォールストリート・ジャーナルによると、ドイツ・テスラ自動車はドイツ金属産業労働組合(IGメタル)による1週間の賃上げ要求の抗議活動に応えて、同社工場(週間5千台生産)の11,000名労働者に対し11月から4%の賃上げ、12月には1,500ユーロ($1,600)のインフレ・ボーナス、来年2月には2,500ユーロの追加賃上げを発表した。同社の賃金はポルシェやBMW、アウディ、VM、ダイムラーなどの他社に比較して可成り低いとされる。
IGメタルは組合員数千人と呼称するが、正確な数字は明らかにしていない。また同労組は来年に行われる労働者協議会選挙に向けて、より労働者に近い代表を選出すべく準備を急いでいる。労働者協議会は労働条件や採用解雇などの経営方針に発言権を持つが、賃上げ交渉は承認された労働組合でないとできない。