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アメリカ脚本家組合のスト終了へ、俳優ストは続く

2023.10.20掲載

9月25日のニューヨーク・タイムズ(NYT)、ワシントン・ポスト(WP)などが「146日の長期に亘った脚本家組合(WGA)ストライキに妥結の兆しが出たが、俳優組合-アメリカ・テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAGーAFTRA)のストライキに灯りは見えない」と報じた。

去る4月から、脚本家組合(WGA 1,1名)は報酬引き上げや制作スタッフの定員増、AIからの著作権保護などを要求してストライキを続けてきた。9月24日夜に至り、スタジオ各社との合意に達したが、詳細は明らかでない。ピケは解かれるが、ストライキは組合員の批准を待って終了する。

映画やテレビ業界では、ストリーミングによる配信サービスの大きな進行、それにパンデミックが加わる中で、脚本家や俳優の仕事が大きく影響を受け、報酬や仕事の減少、人員削減、更にはAI問題などに曝されてきた。
このため7月14日には、脚本家組合に加わって、映画・テレビ労働者によるSAG-AFTRA(総勢16万名)もストライキに突入したが、ここの労使協議には未だ合意が見えない。
SAG-AFTRAには映画・テレビ俳優(SAG)の他、アメリカ・テレビ・ラジオ芸術家連盟(AFTRA)に所属してロサンジェルスとニューヨーク地域で働く監督、カメラマン、メークアップアーティスト、ヘアスタイリスト、映写技師や、出版、衣裳、小道具、照明の関係者などの組合員がいる。地方経済はスト開始以来、カリフォルニアだけで50億ドルの損失を受けたと言われる。

SAG-AFTRAの要求にはWGAを上回る部分があり、会社側が受け入れ不能とするストリーミング総収入の2%要求があることから、会社側はWGA交渉を先行させる方針を取った。
AIについては無料で画像を改変してデジタル・レプリカを創作するなどの問題がある。

脚本家組合との協議は最終段階で、スタジオ側からはディズニーのアイガーCEO、ユニバーサル・スタジオのラングレー会長、NetflixはサランドスCCE、ワーナーブラザーズとディスカバリーのザスラフ社長など、最高責任者が参加して決断が為された。
スタジオ各社は両組合のストライキで160億ドルの興行収入を失ったとするが、組合側は配信サービスの増大、報酬・労働条件の悪化が死活問題と主張。20話程度だったテレビシリーズの6-7話への減少、ストリーミングによる脚本家の数、報酬の減額を指摘した。
両組合の同時ストは1960年以来だが、今回の脚本家ストも同労組史上最長に近い。