活動報告 労使関係開発

スリランカSLNSS,NTUF/JILAF労使関係・労働政策(IR)セミナーの開催

開催: 2022.11.30 2022.12.02
セミナーの様子(SLNSS)

国際労働財団(JILAF)は、11月30日にスリランカ・ニダハス・セワカ・サンガマヤ(SLNSS)、12月1日~2日にスリランカ全国労働組合連盟(NTUF)との共催により、スリランカのコロンボにおいて労使関係・労働政策セミナーを開催しました(JILAFはオンラインで参加)。同セミナーには合計60人が参加しました。

SLNSSとの開催では、冒頭、レスリーSLNSS事務局長が挨拶し、スリランカでは経済危機によって多くの企業の経営が不安定になった結果、雇用や労働者の生活が懸念される状況にある。今こそ様々な危機を乗り越えてきた経験を持つ日本の労働組合から学びを得る必要があり、そのために「危機的状況下での労使関係」をテーマにした、と本セミナー開催の主旨を共有しました。
つぎにJILAFから「日本における危機的状況下での労使関係」をテーマに、①戦後間もない時期の労働組合と労使関係、②生産性運動と生産性三原則、③春闘と労使協議制度、④コロナ禍での雇用安定の取り組み、等について講義を行いました。
続いて、SLNSSからの発表では、COVID-19パンデミックと最近の経済危機の影響によって様々な産業が壊滅的な影響を受け、スリランカ政府は、ビジネスと雇用を維持するために国営企業の民営化を検討しはじめたことを共有した上で、2名の学識者それぞれから民営化のメリットとデメリットについて説明があり、労働組合としては組合員の権利や利益を考慮しながら、労使協議等の対話を重視してその役割を果たす必要があるとまとめました。
最後にレスリー事務局長が、経済危機下にあるスリランカでは雇用の安定が懸念される状況だが、本セミナーで日本の事例に学び、今後は政労使間の連携を強化しこの危機を乗り越えたい、そのためにも誠意と敬意を払い合う労使の信頼関係を構築していく必要がある、と挨拶しセミナーを終了しました。

NTUFとの開催では冒頭、相原JILAF理事長がJILAFの紹介と共に本セミナーのテーマを共有した後、ヴァディヴェルNTUF会長とプラサッドセイロン経営者連盟(EFC)副会頭から、スリランカは労働者に対する搾取や性的暴力を全滅させるILO190条約を批准する方向で検討中であり、労働組合としてビジネスと人権を意識しながら建設的な労使関係に基づきこれを推進する役割があり、本日のセミナーはそのために大変有益であるとJILAFに謝意を伝えました。
JILAFからは、小暮参与が「ビジネスと人権」と「日本における春闘」について講義し、参加者からは「ビジネスと人権についてはスリランカではまだ認識が広まっておらず、今後は国際労働組合ネットワークと連携して強化していく必要がある」との意見や、日本における団体交渉の進め方と年金制度等についての質問があり、適切に回答しました。
続いて、パドマシリNTUF事務局長は「スリランカにおける労使関係」の中で、労働争議の調整制度及び各関係機関の役割を説明しました。
また、「社会保障制度と労働者の生活」、「労働安全衛生」についてそれぞれの専門家から基本情報についての講義がありました。
閉会にあたり、参加者からは「各自の職場の課題を共有しつつ、労働組合は労働者の声をしっかりまとめ、使用者や政府と対話する役割があることを再確認した」とのコメントが寄せられました。最後にパドマシリNTUF事務局長が、日本の事例は危機からのレジリエンスを有する好事例である、今回のセミナーで学んだ内容を活かしてそれぞれの組織を強化させていって欲しいと挨拶し、閉会しました。

参加者の様子

  • セミナーの様子(NTUF)
  • 相原理事長開会挨拶