活動報告 各国の労働事情報告

2023年度 中国の労働事情(ミャンマー・中国チーム)

2023年6月8日 報告

本労働事情については、ナショナルセンター・参加者から提出された資料に基づき「労働事情を聴く会」、参加者との意見交換を基にまとめたものである。

参加者情報

中華全国総工会(ACFTU)国際部副処長
チャン ジー(Ms. Zhang Jie/張 潔)

中華全国総工会(ACFTU)国際部幹
ウー ミンホア(Ms. Wu Minghua/呉 明華)

中華全国総工会(ACFTU)国際部幹
ヤン ヨン(Mr. Yang Yong/楊 永)

中華全国総工会(ACFTU)国際部幹部
チャン メンメン(Ms. Zhang Mengmeng/章 蒙萌)

中華全国総工会(ACFTU)際部幹部
シュヤ チャン(Ms. Zhang Shuya/張 淑雅)

国家エネルギーグループ会社物資有限会社総務部副主任
ミン シャオシュエ(Ms. Min Xiaoxue/閔 晓雪)

1.基本情報

  • 人口

約14億人(2023年5月 日本外務省)

  • 宗教

仏教、イスラム教、キリスト教など(2023年5月 日本外務省)

  • 政体

人民民主専政(2023年5月 日本外務省)

  • 主要産業

第一次産業(名目GDPの7.3%)、第二次産業(同39.9%)、第三次産業(同52.8%)
(2023年5月 日本外務省)

  • 名目GDP

約121兆207億元(2022年、中国国家統計局)

約18兆1,000億ドル(2022年、IMF(推計値))

  • 経済成長率

3.0%増(2022年、中国国家統計局)

  • 物価上昇率

2.0%(消費者物価)(2022年、中国国家統計局)

  • 失業率

5.6%(都市部調査失業率)(2022年平均、中国国家統計局)

2.労働事情全般

2022年10月、中国共産党第20回党大会が開催され、社会主義現代化国家を構築する壮大な青写真が描かれた。2022年の年間GDPは3%上昇し、都市部の新規就業者は1206万人となり、年末の都市部調査では失業率が5.5%まで低下した。

労働分野では、政府が疫病被害(新型コロナ感染)を受けた企業や自営業者の救済支援に力を入れており、年間で新たに1兆元以上の減税と7500億元以上の税の延納を実施した。

安定した雇用の拡大に対する政策支援の強化、困窮する業種の企業の社会保険料の納付猶予の実施など雇用の安定と拡大をはかることで、担保貸付、賃料減免等の企業支援策や就業困難者の特別支援を行い雇用情勢は総じて安定している(若者の雇用は除く)。

直近の中国社会の労働事情の状況としては、第一に全国都市部調査の失業率が2か月連続で低下している。主な雇用者層の失業率は低下し、若年層を除いた25~59歳の労働力都市調査の失業率は4.2%で改善傾向にある。

しかし、現在の全体的な失業率は改善傾向にあるものの、若者の就職圧力が比較的大きく、16~24歳の失業率は20.4%と高止まりとなっている。若者雇用の安定と拡大には力を入れていく必要があり喫緊の課題である。

3.社会保障制度

中国における社会保障制度については、日本と同様に、少子高齢化社会が急速に進み、社会保障関係費の急増をどうするかについて問題を抱えている。

直近では、国民生活保障の強化で、中国政府は合計1000万人以上の失業者に失業保険金を支給し、約6700万人の低所得者に価格保障を行い、社会保障政策の範囲を拡大し続け、より多くの困窮する集団を保障範囲に組み入れた。総じていえば、世界の高インフレを背景に、中国は食糧とエネルギーを重点的に供給と価格の安定を保っている。物価は比較的低い水準を維持し、経済成長は上向き、消費需要、市場流通、工業生産、企業の期待などは好転している。

4.直近発生した問題視されている労働争議

参加者から個別に聴取した内容で特記すべきは、個別労使紛争が散見され、その多くは賃金不払いとなっている。個別労使紛争から企業との交渉が不調となり、調停まで発展しているケースもある。

5.労働法制

中国の労働紛争処理システムは、まず紛争当事者間で協議を行ない、それでも解決しない場合、企業内の労働紛争調停委員会等で調停を実施する。不調に終われば、仲裁委員会による仲裁に進む。

企業は従来の交渉なき強硬姿勢から対話を通じた問題解決へと労働者側に歩み寄る姿勢を見せている。法制面でも労使間対話による問題解決を促すべく調停機能が至るところに組み込まれている。より対等で調和のとれた労使関係を目指した環境が構築されつつある。

  • 中華全国総工会の重要課題

<党大会の完全実施に向けた幕開け>

第20回党大会を受け、その基礎を全面的に構築するための重要な年と位置付けている。党大会の精神を学習・宣伝・実践し、その成果を新しい時代の労働組合活動の構想に反映させる。

<産業労働者力の構築・改革>

労働と技能の競争を幅広く展開し、大国のブランドを実現すること、労働者の技能の質の向上を促進する職業技能訓練制度を構築する。

<新型コロナ対策>

疫病が労働者の雇用に与える影響に細心の注意をはらい、雇用優先策を行うこととするなど権益保障を強化する。

<デジタル化、スマート化への対応>

急速に発展するデジタル化社会に適応するため、労働組合のオンライン業務を積極的に展開するなど新しい形態を構築する。

<労働組合の改革と構築>

労働組合の組織体系構築の強化と草の根の労働組合の活力を引き出し、新規組合員を継続的に推進するなど、今後5年間の活動課題を整理し推進する。労働組合幹部の育成強化し作業方式を改善する。

7.結びに

今研修で話題となったのが、ギグワーカーの問題。中国ではコロナ禍の影響で急増したネット通販や料理宅配サービスの配達員ら非正規就労者の労働問題が深刻化している。日本でも同様で、フリーランスやプラットフォームワーカーなど「曖昧な雇用」といわれる多様な就労者が急増している。非正規雇用労働者などすべての働く人が安心して働ける仕組みを考える上で、日中の共通した社会課題を認識した。