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メキシコの労働協約、85%に組合員の承認投票なし

2023.06.23掲載

5月1日付のワシントン・ポスト、2日付のメキシコ・デイリー・ポストなどによると、メキシコ労働社会保障省(STPS)が「正式に登録された14万件の労働協約の85%が5月1日期限までに組合員の賛成投票を受けておらず、労働協約無効化の危機にある」との声明を発表した。

メキシコ政府は、2019年の米国・メキシコ・カナダ自由貿易協定(USMCA)の批准により連邦労働法が大きく改訂され、各労働組合に対し、現行の労働協約承認の無記名投票を4年以内に実施するよう指示していたが、労働協約の15%しか承認されていない状況となっていた。

メキシコの賃金は、米国の8分の1以下の状況にあるため、米国から何百万もの製造業の雇用を引き寄せているが、メキシコの労働組合が組合員の承認を受けない低賃金でメキシコの工場を存続させる現状改善には長期の努力が必要といえる。

メキシコ労働社会保障省は、無効とされる12万件の労働協約について、7月31日までの承認投票を急ぐよう指示したが、大きな進展は期待できず、400万人の労働者が労働協約を無効化された状況に置かれることが危惧されている。

合法とされた2万件の協約の多くは大規模工場、12万件の多くが中小企業と思われ、倒産企業も多いと推定される。

企業は、従来からストライキを行わず、賃金要求をしない労働組合を好んだが、 今年初めにもメキシコ中部にあるミシガン州本社の米国企業の部品工場で新規組合の組織化が行われた際に、会社は新組合を妨害する行動に出て、USMCAに基づく訴訟を起こされた経緯がある。独立新組合であるトランスフォーメーション・ユニオンのカスティーヨ委員長によれば「会社は新組合の組合員の工場への立ち入りを禁止し、活動の妨害するとともに活動家を解雇した」と述べているが、結果的に新組合は組合員の承認を得て、交渉団体として代表権を認められた。

また、去る4月にも北部に位置するグッドイヤー・タイヤ工場では会社寄りとされる労働組合が投票箱を盗み出すという事件が発生し、このため労働省は「一切の介入を排除し、国内および国際監視団による特別警戒の下での再投票」を命じる事例も起きた。

労働協約承認投票を実施しなかった労働組合には、無記名投票による役員選挙の再実施が命じられたが、労働省はその声明で「労働協約の無いところでは、企業は企業内のすべての組合を平等に扱い、従業員に対して報復や差別行為を行うことなく、中立の立場を堅持するよう」命じた。