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ウクライナ避難民の就職状況

2022.08.25掲載

8月1日のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)、4日のワシントン・ポスト(WP)などが「ウクライナ避難民の就職状況について」報じている。

2月24日のロシアによるウクライナ侵攻により650万の避難民がEU諸国に流出した。これに対しEU27か国は避難民の生活や亡命、帰国への法律を整える中、370万人が3年間の特別ビザによる就職、教育、医療保険を申請した。その間、半数がウクライナに帰国したが、半数はEUにとどまり、少なくとも40万人が就職した。その数はポーランド20万人、チェコ10万人、イタリアで2万人と言われる。

OECDはウクライナ避難民によるEU労働人口への影響は2014年から2017年のシリア難民の2倍に達すると計算しつつ、今年中には、失業率最低のチェコを中心にポーランド、エストニアなどのサービス産業を中心に120万人が就職すると推定している。他方、高齢化による労働者不足に直面するEU諸国では、失業率の押し上げや賃金引き下げの要因にはならないと結論した。

WSJの紹介では「ウクライナの高度熟練技術者にはアマゾンやボーダフォンなどの企業への就職、EUによるオンライン職業紹介もある。また起業も広く奨励され、デンマーク設立の起業学校からは今年7月にウクライナ女性60名が卒業し、IT、ファッション、料理、教育などの分野で活躍が期待される」と記述している。
国連や人権団体はこうしたEUの努力を称賛しているが、一方で、中東やアフリカ、アジアからの避難民が住民登録や労働許可取得に数年を要することとの大きな違いも指摘されている。

それでも、ウクライナ避難民の仕事探しは容易ではない。言葉の障壁に加えて、熟練労働者であっても証明書類がない者、証明書類があってもその国の専門職としての言語や訓練を必要とされる者などがある。また18歳から60歳までの男性はウクライナから出国できず、避難民の多くが子供をもつ女性であることも就職率が低い原因である。戦争終結の予測も立たない中で、多くの女性は9月の新学期には帰国するという選択肢もある。

ポーランドの労働社会政策担当大臣によると、最大多数の100万人を受け入れたポーランドで就職できたのは3分の1と言われ、就職先は看護師、ウクライナ語教師、家政婦やウエイトレスなどがある。ポルトガルでは複数の大企業がウクライナ避難民向けに特別な職場を用意し、職業安定所では無料のポルトガル語教育を実施している。ドイツでは90万人が職業紹介所に登録したとされるが就職状況は不明。WSJによれば、ウクライナで朝のTV番組の編集主任をしていた女性(11歳と13歳の子供を持つ41歳)は、家政婦など低賃金の仕事に応募もしたが、ドイツ語習得を優先して放送界復帰を目指すという。

チェコ政府によれば、特別ビザを取得した40万人の内8万人が就業とある。その中で、WPが紹介するウクライナで弁護士をしていた女性は「現在は家政婦として働いているが、仕事があるだけでも幸運であり、空襲のサイレンが鳴り響く恐怖の中で暮らすのとは違い、平和で人間らしく生きられる」と語る。