活動報告 メールマガジン

大統領が米国貨物鉄道のストライキに中止命令

2022.12.27掲載

本メールマガジンは今年8月9日の「米国鉄道の労使交渉促進に大統領緊急委員会を創設」の続報になるが、12月2日のニューヨーク・タイムズ、3日のワシントン・ポストなどが「米国貨物鉄道の全国ストライキが下院および上院議会の法案通過により、強制中止命令を受けた。バイデン大統領の署名を経て9月合意の協約が適用される。これにより懸念された深刻な経済危機は回避された」と報じた。

2020年に期限切れとなった貨物鉄道各社と12労働組合との労使協定改訂交渉は今年7月と9月にも決裂の危険があり、9月にウォルシュ労働長官の仲介により「2020年から2024年までの5年間の賃上げ24%、5,000ドルのボーナス、余裕ある就業スケジュール、有給休暇の1日追加」が合意された。しかしその後の大手4労組などの組合員批准投票では有給病気休暇のないことを理由に合意が否決され、ストライキが予告されていた。しかし今回の議決で9月合意が実施されることになる。

鉄道各社にはアムトラック、ユニオン・パシフィック、BNSF鉄道、ノーフォーク・サザン鉄道など、労働組合には機関車操縦士友愛組合、国際シートメタル・航空・鉄道・運輸友愛会、チームスター労組などがあり、115,000名が加盟する。鉄道貨物はトラック業界に次いで米国貨物輸送の3分の1を占め、ストライキは1日7,000両の貨物輸送と20億ドルの損失となる。

議会によるストライキ中止命令は1926年の鉄道労働法制定以来18回の記録がある。歴史上最も労働組合寄りと自負するバイデン大統領だが、米国経済全体の危機を重く見ての今回の介入であろう。

批准が拒否された争点は年間7日の有給病気休暇要求だったが、現在民主党優勢の下院議会を通過した7日間休暇提案も上院では52対43と必要60議席の賛成が得られず、またストライキ期限の12月9日を60日延長してクールオフを図ろうとした上院共和党の試みも70対25で否決され、最終的に9月のウォルシュ仲介合意が80対15で承認されることになった。

今回の状況について労働組合は「有給病気休暇の要求は今後も続けてゆくが、それは2025年の交渉まで待たねばならない」と述べる。