活動報告 各国の労働事情報告

2022年 ジョージアの労働事情 (ユーラシアチーム)

2022年7月1日 報告

本報告は2022年6月27日~7月1日にJILAFが実施した招へいオンラインプログラム(アゼルバイジャン、ウズベキスタン、カザフスタン、ジョージア)における、ウズベキスタンの参加者から報告された「カザフスタンの労働事情」および、同提出関連資料に基づいて作成した。

ジョージア労働組合総連合(GTUC)カザフスタン労働組合連盟(FPRK)

  • ジョージア運輸・道路労働組合 副会長
  • トビリシ地下鉄労働組合 副会長
  • ジョージア労働組合総連合(GTUC) 広報局員

(1)国の規模感

・人口
 ジョージアの人口は208.9万人である。
・産業別人口構成
第1次産業 第2次産業 第3次産業
ジョージア 42.4% 13.5% 44%
・国内総生産成長率(2021年)
 ジョージア:-6.1%
・一人当たりの国民総所得
 ジョージア:4690ドル

(2)報告事項

ジョージアの労働運動については、参加者から「某企業のストが解決するまで」の例をもって語られた。報告者は個人的に某企業の労働組合改革連盟に2006年から関わっており、実際に組合を変えた人物である。2006年と言えば、サーカシュビリ大統領の下、ネオリベラル政策が次々と実行されている年であり、労働法の改革も行われた。この改革は全て使用者の利益に沿ったものだったという。もともと、某企業の労働者は特に厳しい労働環境に置かれていたが、それを様々な配慮でカバーしていた。例えば、5日を単位とする交代制勤務、ミルクの支給、特別手当、特別な年金制度などであった。しかし、これが2006年労働法の改定によって全て無くなった。組合員の不満は高く、組合は交渉を開始したが、解決せず、裁判に訴えた。裁判は4年かかった。結果として、良い妥協を獲得できたという報告があった。
2006年の労働法改革は、何ら事前の通告抜きで労働者を解雇でき、労働監督官も廃止、さらに週休、超勤の上限規定、シフト勤務の間の休憩も廃止された。これらが海外投資を呼び込む理由だけで導入されたのである。2020年6月には新しい労働法が国会に提出され、2006年の規制緩和ばかりの労働法に比べて、今回の労働法改革はILO基準にも合致した内容だと言う。
報告者からは「2020年の新しい労働法によって、ようやく普通の労働法を我々はもつことが出来た。今後はこれを改革してゆけばよい」との発言があった。