活動報告 メールマガジン

サムスン電子 創業初「過半数労組」誕生

2026.02.02掲載

2026.2.1

ソウル聯合ニュース(日本語電子版)は1月29日、サムソン電子に過半数組合が誕生したことを次のように伝えている。

1/29韓国のサムスン電子で創業以来初めて、単一で全従業員の過半数を占める労働組合が誕生した。 サムスングループの系列会社の枠を超えて組織された「超企業労働組合」のサムスン電子支部は、同支部の組合員数が29日午後に6万2600人を突破したと発表した。2025年12月31日時点の5万853人から1か月足らずで約1万2000人増え、労組が過半数の基準として推計していた6万2500人を超えた。  労組側は30日午前、会社側に公文書を発送するなどし、過半数労組としての認定手続きに着手する計画だ。雇用労働部に対しても、労働者代表としての地位を確定させるための正式な手続きを進める。

ただ、正確な過半数の判定基準については今後の検証手続きにより変わる可能性がある。25年6月末時点の全従業員数(12万9524人)に基づき、一部からは過半数の確保には約6万4500人以上の組合員が必要だとの指摘も出ている。  過半数労組の地位を確保した場合、法的に交渉代表労組の資格を得て、賃金や労働条件の交渉を単独で会社側と行えるようになる。  サムスン電子では2018年に初めて労組が設立されたが、これまでは複数の労組が並立しており、単一で過半数を占める労組は存在しなかった。
(引用以上)

サムソン電子は長年「無労組」を貫いてきたが、2019年11月に韓国労働組合総連盟(韓国労総)傘下のサムスン電子労働組合が組合員約500名で正式に発足した。
同年12月、サムスン電子サービス(子会社)の労組瓦解工作に関与したとして、当時の理事会議長ら経営幹部に実刑判決が下り、司法によって無労組経営の違法性が断罪された。
2020年5月には、経営トップの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長(当時)が国民に向けて謝罪し、「無労組経営」の放棄を公式に宣言。労働三権の尊重を表明した。

その後の同労組の組織拡大の経過は以下の通りである。
設立後同労組は競合他社のSKハイニックスと比較し、不透明な成果給制度(OPI)の改善や、営業利益ベースの透明な報酬体系への変更を強く要求し、従業員の支持を集めた。また系列会社13社の労組による「サムスングループ労働組合連帯」を結成し、グループ全体での連帯を強化した。

2024年7月には賃上げや休暇制度、成果給制度の改善を求め、創業以来初となる「無期限ストライキ」に突入。 ストライキを通じて、特に労働環境が劣悪な旧式半導体製造ライン「8インチライン」問題などを提起し、現場の結束を高めた。同時にこのストライキを機に、8インチラインにおける「人手不足による休暇取得の制限」や「労災申請に対する有形無形の圧力」といった劣悪な労働環境が社会的に注目されることになった。

2025年3月には、ストライキを含む一連の交渉過程を経て、賃金および団体協約が締結され一定の合意に至った。この間のサムスン電子労組の一連の行動が組合員から高い評価を得たものと考えられる。
そして 2026年1月、短期間で組合員が急増し、単一労組として過半数を獲得するに至った。

過半数組合となったサムスン電子労組は、今後より強力な交渉力を持って会社と対峙することになるが、労使の役割と課題は次の通りと考えられる。

• 単独交渉権の行使: 過半数を確保したことで、法的にも「交渉代表労組」の地位を確立する。これにより、他の少数労組と調整することなく、単独で会社側と賃金・労働条件の交渉が可能となり、迅速かつ強力な意思決定が行われるようになる。
• 成果給制度(OPI)改革の推進: 最大の争点である成果給制度について、SKハイニックスの「営業利益」ベースの透明な基準への変更と、上限撤廃を求める動きが加速すると予想される。会社側が固執するEVA(経済的付加価値)基準との妥協点を見出せるかが焦点となる。
• 労働安全衛生の強化: ストライキで浮き彫りになった「8インチライン」や化学物質を扱う現場の安全対策、筋骨格系疾患などの労災認定を求める動きが強まる。会社側もISO45001認証の取得や安全文化の定着を掲げており、労組の監視の下で実効性のある改善が進むかが問われる。
• 新たな労使関係の構築: かつてサムスンは「労組がある企業よりも高い賃金を払う」ことで労組の必要性を排除してきたが、そのモデルは崩壊した。今後は、対等なパートナーとして労組を認め、ストライキ等のリスクを管理しながら生産性を維持するという、一般的なグローバル企業と同様の労使関係マネジメントが求められる段階に入る。(Y.T)

以上