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NY市のスターバックスが労働法違反で3,500万ドルの賠償支払い

2025.12.18掲載

2025年12月15日現在

12月1日のワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズなどが「スターバックス労働組合(SWU)が先月から全米数十店でストライキを展開する中、会社はニューヨーク市のスターバックス店、15,000名への労働法違反について3,500万ドルの賠償を支払う事になった」と報じた。

労働法違反には不定期な勤務時間や一方的な勤務時間の削減などがあり、違反件数は2021年以降50万件以上に上る。NY市の調査では300以上の店舗で一方的な勤務スケジュールの変更や利益優先による違法な労働権の侵害が起きていた。同市の労働法「公正勤務時間法」が成立したのは2017年、ファストフード従業員に対する毎週の定期的勤務スケジュールの確約、14日以前の勤務時間予告、正当な理由なしの15%以上の勤務時間の削減禁止などが定められた。

NY市が労働者の苦情を受けて調査を始めたのは2022年からだが、調査は最終的に数百店に及び、殆どの従業員に定時的な勤務時間がなく、子供の世話や教育、他の職業を兼業することが難しい事が判明、またパートタイム時間以外の勤務が認められないため、パートタイムから抜け出せないでいることも明らかになった。

労働者側を支援しつつ今月末退任のアダムズ市長(民主党)は「歴史的な解決により、勤勉なニューヨーカーに数千万ドルが戻り、充分な勤務時間と仕事、基本的尊厳が確保出来た」と言明した。
後任で社会主義を自認するゾーラン・マムダニ新市長も独立派のサンダース上院議員とともにピケを組むバリスタ達の応援に駆けつけたが、新市長は選挙公約実現のために現行法人税7.25%の11.5%への引き上げ、年間所得100万ドル以上への2%増税を明らかにしている。

スターバックスは直営10,000店、フランチャイズに7,000店を空港やグローサリーなどに保有するが、SWUは600店舗以上に12,000人を組織化してきた。しかしニューヨーク市バッファローに最初の労働組合が誕生してから4年、会社は未だ労働協約に同意していない。こうしたことで同労組は19日前にストライキを始めた。

ニューヨーク市消費者・労働者保護部によると賠償額は労働者に3,500万ドル、NY市への罰金340万ドルと言われるが、2021年7月ー2024年7月までに時間給で働いた労働者には毎週50ドルが支払われ、1年半勤務者には4,000ドル近くが支払われる。また、店舗閉鎖でレイオフされた労働者は他店での再雇用が保証される。会社担当者は公正労働時間法の複雑性に苦情を言いながらもその遵守を約束した。

マムダニ新市長は先日のトランプ大統領から受けた思わぬ友好的な面談について聞かれ、そつなく「働く人たちに何が出来るかを考えていた」と答えたが、サンダース議員は素っ気なく「トランプは病的な嘘つき」と呼んだ。

以上