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米国下院議会が連邦公務員労働権剥奪のトランプ命令を廃案に、上院承認は困難

2025.12.16掲載

2025年12月15日現在

12月11日のワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズなどが「トランプ大統領は今年3月の行政命令で20有余省庁の連邦公務員の団体交渉権停止を命じたが、今日の下院議会は231対195で命令の廃止を承認した。しかし廃止案が上院を通過する可能性は極めて低い」と報じた。

トランプ政権は労働権停止が国家安全保障のためとしているが、政府効率化を目指す公務員の大量解雇と行政改革の中で実施されており、医療サービスや内務省、商務省など国家安全には直接関与しない省庁も多く、AFL-CIOのシュラー会長からは「米国史上最大の労働組合潰し」との激しい非難が出され、各組合も一斉に訴訟を起こしている。

トランプ命令の廃止議案を提出したのはメイン州選出のゴールデン民主党下院議員、議会手続きのディスチャージ・ペティション(免責申請手続き)を使って過半数である218名議員の署名を集めて委員会の承認無しに法案を提出、選挙区にそれぞれの事情を抱える共和党議員20名の賛成を得て成立を勝ち取った。しかし、正式廃案には上院議会で共和党13名の賛成が必要となるが、上院での造反は極めて難しいといわれる。

連邦公務員への労働組合権は一般労働者に比べて限られたものがあり、ストライキや賃上げ交渉は出来ないが、組合加入や日常処遇についての団体交渉は可能である。

以上