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大リーグ野球選手会(MLBPA)が来年の協約交渉に向けて準備会議

2025.12.16掲載

2025年12月15日現在

12月4日のワシントン・ポストと11月11日のニューヨーク・タイムズなどが「来年12月1日期限切れとなるMLB(野球大リーグ)労働協約改定交渉にむけて、11月11日に球団代表と選手会代表が会合。12月4日には選手会が役員による準備会議を開催したが、交渉難航が予測され、球団側によるロックアウトの懸念は消えていない」と伝えた。

昨年の大リーグ野球の観客数は大谷翔平や山本由伸ら日本人選手の活躍で3年連続の記録的増加を示し、2023年から導入の促進ルールも広く歓迎された。しかし大谷、山本、ベッツ、フリーマン獲得に投じた5億ドルに及ぶドジャースの巨額投資は選手給与の不均衡を明らかにするなど、来年12月1日改定の協約交渉へ課題を残すことにもなった。

選手会の協約改定協議には8人の執行委員会を中心に30球団から各1名の代表が当たるが、クラーク会長は「役員会には強力なリーダーが集まっている。協約交渉には幾つかの改定点があるが、その一つは球団強化に向けてのフリーエージェント(FA)への拠出増額だ。しかし球団の中には増額に消極的な所が多い」と語る。

過去2年、ドジャースはワールドシリーズ制覇に向けて8億9,000万ドルを拠出したが、アスレティックスの拠出は1億5,000万未満にとどまった。また、米国スポーツの中でも大リーグ(MLB)だけにはサラリーキャップ(報酬上限)がなく、キャップを要求する球団側に抵抗した選手会との対立で、1994ー95年には7ヶ月半のストライキが起き、90年間で初めてワールドシリーズがキャンセルされた。

改定点の2番目には若手選手への報酬増額がある。ほとんどの若手選手には3年目で契約条件に合意しない場合の第三者機関による年俸調停資格が生じ、6年目にはFA資格が生じる。
また、最低報酬については2022年の前回交渉で70万ドルへの大幅引き上げが獲得され、来年は78万ドルに引き上げられる。さらに年俸調停選手には毎年5,000万ドルのプール資金が用意される事になった。選手会はこれら諸点を中心に要求を練り上げてゆくことになる。

以上