スターバックスの65店舗でストライキ
11月13日のワシントン・ポストや14日のUSAトゥデーなどが「労使交渉に応じないスターバックス社に抗議して、労働組合組織の65店舗、1,000人がレッドカップ・デイと呼ばれる11月13日、無期限ストに入った」と報じた。
スターバックス統一労働組合(SWU)は「ストライキは全米45都市で展開」と言明したが、会社は「大半の店舗は通常営業」と発表した。スターバックスは米国各地に直営10,000店舗、フランチャイズ7,000店舗を持つが、レッドカップ・デイは2018年から始められた顧客感謝デイにあたり、再使用可能のカップが無料で顧客に配布され、一年で最も多忙な一日とされ、今年の客足も好調といわれる。
直営店舗のうち労働組合が組織されたのは550店舗だが、去る9月、会社は会社再編の一環として59店舗を閉鎖した。ストライキの背景に何があるのか?
スターバックスの労働組合誕生は2021年のバッファロー、2023年12月にナラシムハンCEOが「2024年末までに労使協定を締結する」と言明したが、2024年8月に会社はそのCEOを解任、以降、後任のニッコル氏は交渉に応じていない。
SWUは顧客の待ち時間改善のための労働時間の改善と人員補充、賃上げを求めつつ、数百万ドルのCEO給与、ラスベガスの会社管理職会議には14,000人を集めて8,100万ドルが使われたことを指摘している。
反面、多くの労働者は会社諸手当の受給条件である週20時間以下の勤務状態に置かれ、時給16ドル程度で消耗品のように働かされ、組合結成に与した解雇などの不当労働行為も放置されたままと言われる。
一方、会社は従業員待遇は小売り業界最高の時給30ドル、18週間の有給家族休暇、大学進学者への4年間の授業料支給などの特典を実施していると言明しながら、今年春の労使交渉には組合側が出席しなかったと指摘した。他方、組合意見で業務改善を見た例もあるとして、店内で5人以上が待つ場合のモービル・オーダーの中止などを挙げている。
ストライキは2022年と23年にも実施され、昨年はクリスマス前の5日間に59店舗で実施されたが、非組合店舗が圧倒的に多い会社は常にストライキの影響はないと言明してきた。
しかし店頭でのストライキは工場と違って、多くの人の目にさらされ、顧客と接触する従業員からの影響は無視できないともいわれる。
現状打破を希望的に見れば、ニッコルCEOが顧客接待の基準を引き上げて居心地の良い店舗設計、繁忙期での人員増強を打ち出したことと、組合意見を入れて、店内注文のモービルオーダー優先を決めたことなどがあるが、今の無期限ストの終了には先が見えない。
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