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ポルトガルの労働法改定に抗議して数万人の抗議デモ

2025.11.26掲載

11月8日のワシントン・ポストと10日のポルトガル・レジデントなどが「ポルトガルの首都、リスボンで中道右派のモンテネグロ社会民主党政権が計画する労働法改定に抗議して数万人が抗議デモを展開した」と報じた。

政府が計画する労働法改定は生産性向上と労働市場の規制緩和を意図して100項目以上に及び、解雇の容易化、育児休暇への制限、流産休暇の短縮、柔軟な労働時間、職業訓練、新労働法の試行期間、ストライキ期間中の最低業務などを定めているが、抗議デモを主催した労働組合はこれら改定が主導権を使用者側に移すものだとして反対するとともに、賃上げの要求を強めており、現在の月額最低賃金の870ユーロ(1,007USドル)を2026年には1,050ユーロ(1,214USドル)へと呼び掛けている。

人口1,060万人のポルトガル国民を率いる少数与党のモンテネグロ政権は極右で最大野党のシェーガ党との連携を深めているが、組合側のポルトガル労働者総連盟(CGTP)は12月11日のゼネストを宣言、労働者総同盟(UGT)が同調する形で全国ストの様相を濃くしている。

これに対しモンテネグロ首相は「ストライキは正当化できるものでない。共産党とCGTP、社会党とUGTとの関係による政治的動機が強く、時代錯誤だ。労働運動にとっても良くない。2024年のポルトガルの国民所得はOECD38か国中、最高の上昇を示した。交渉にはいつでも応じる」と非難した。

筆者調べだが、去る5月の総選挙では2015年から2024年まで長期にわたり政権を担ってきた中道左派の社会党政権が大きく敗退したが、社会党からはグテーレス国連事務総長などが輩出されている。
また厚労省資料によると、労働組合の組織率は70ー80万人の22%、その内の3分の2を占めるCGTPは製造業と民間サービス部門にわたる最大組織、UGTは銀行、公共サービス、公益事業を代表する組織である。

以上