UAW改革に取り組むフェイン会長へ反対派の動き
9月15日のニューヨーク・タイムズは「来年の全米自動車労組(UAW)選挙を控えて、フェイン会長に反対する動きが出ている」と報じた。
2年前、UAWフェイン会長はデトロイトのビッグ3相手の同時ストで賃金労働条件の大幅改善を実現させ、バイデン前大統領などから大きな称賛を浴び、次代の新リーダーとして労働組合復権に強い期待を寄せられている。
そのフェイン会長に対して今、少数だが数グループが反対の声を上げ、予算や他役員への対応などの内部事情による問題点を取り上げて、会長追放を主張している。反対理由は南部諸州での組織化に過大な経費を費消した、2役員の役職解任に誤りがあること、数千名の組合員レイオフを防止できなかったことを問題視している。
リーダーの一人はGMフリント工場に働くフィルズベリー氏(51歳)だが「フェイン会長は組合収入以上を費消している。また組合運営の透明化の約束も全く出来ていない」と語るが、その指摘にはフェイン会長がUAWの改革と安定を公約しただけに無視できないものがある。以前のUAWは2人の会長などが汚職事件で起訴され、司法省との合意で、裁判所任命のモニターが組合改革を監査する事態に置かれている。
これについてフェン会長は「GM、フォード、ステランティスとの協約交渉におけるトップ賃金の25%引き上げで時給40ドルを実現、2重格差の低額賃金を来年末にはトップ賃金レベルに引き上げることでの賃金倍増、などで大勢の支持を得ている」と語り、「組織面ではテネシー州のフォルクスワーゲン工場の組合結成やオハイオ州のGM合弁バッテリー工場の組織化、今月にはケンタッキー州のフォード合弁バッテリー工場組織化(現在投票結果の再審査中)など外国企業組織化成功の実績」をあげた。
フェイン会長反対の投票請求は6ローカルで起きた。しかしこの投票は大半の組合員が夏季休暇中になされたもので、4,000名のミシガン州ウオレン・ローカル140では80人だけの賛成投票、6,000人のローカル1700では賛成62反対1という極少数のため、結局は無効とされたが、反対派でステランティス・ミシガン部品配給センターに働き、2026年の会長選挙に立候補を目指すケラー氏は「活動を6ローカル以外に広げてゆく」と決意を語る。しかしフェイン会長賛成派は50以上のローカルで支援活動を強化している。
反対派が特に問題にしているのはモック財政事務局長とボイヤー副会長の役職剥奪だが、モック局長はテネシー州の組織化やビッグ3へのストライキ経費の支出を拒否していた。
ステランティス首席交渉担当であったボイヤー副会長は業績不振を理由とする会社からのレイオフが起きた後に解任された。この点について監査モニターのバロウスキー弁護士はさる6月「モック局長の責任問題の正当化は出来ない。報復行為があるのかどうかも調査を続ける」と言明した。
フェイン会長はバロウスキー弁護士の監査の下、2023年の選挙では従来の大議員選挙に代わる組合員の直接選挙で当選したが、役員会は14議席の内、フェイン派7議席、中立派1議席、従来の体制派6議席の僅差にある。
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