UAWによるケンタッキー州バッテリー工場の労働組合結成投票に再審査
8月28日のワシントン・ポストとウオールストリート・ジャーナルなどは「UAWが南部諸州で組織化を進める中で、現在取り組んでいるケンタッキー州のブルーオバルSKバッテリー企業の投票結果に疑問が提起され、会社側から全国労働関係員会(NLRB))に再審査が要求された」と報じた。
全米自動車労組(UAW)は近年、南部諸州の電気自動車工場への組織化に力を入れており、昨年9月にはテネシー州のGM・韓国LGエナージー合弁バッテリー工場で1,000名の組織化に成功、4月には同州のフォルクスワーゲン工場でも73%の高支持率で4,000名の労組結成に成功、オハイオ州のGM合弁バッテリー企業の組織化にも成功したが、昨年のアラバマ州メルセデスの2工場の組織化には失敗、またVWについては16ヶ月経過後の現在も労働協約が締結できていない。今年の4月にはインディアナ州のステランティス・韓国サムスン合弁バッテリー企業での2,000名の組織化に成功している。
今回の2日間にわたるBOSK工場の投票での有資格者は1,249名で、有効投票1,041票のうちの賛成は526票で反対は515票、それに不明票41という結果に終わり、UAWは勝利を宣言したが、NLRBは再審査に入る。同工場はフォードと韓国SKオン社の合弁企業として1週間前に開業したばかりだが、フォードF-150 軽トラックのバッテリーを生産する。なお同社はこの工場の他にも1工場を開業の予定で、総計5,000名の従業員を計画するが、反対派の声としては電気自動車の成功も覚束ない中での将来への不安が聞かれる。
UAWは声明の中で「不明票は違法なものであり、経営者が結果を覆そうと水増ししたもので、現場労働者を代表するものではない。こうした経営介入には断固として戦う。現場労働者でないこのグループが労働組合を必要とするなら、別の組合を作れば良い」と言明した。
不明票のなかには緊急安全警備関係者などが含まれているが、NLRBが選挙を指示したとき「彼らに投票権は認められるものの、選挙資格に疑義が提起された場合には、そのときに解決する」と予告していた。
自動車産業が電気自動車への転換点に立つ現在、世界では中国製がより安価な製品を提供して販売を伸ばしているが、米国ではトランプ政権が電気自動車への流れを食い止めようとして7,500ドルの電気自動車購入奨励補助金廃止の動きにあるが、自動車メーカーによる電気自動車への傾斜は止まらない。フォードも最近「他車を凌ぐ安価で高収益の電気自動車生産のため、ケンタッキー州ルイビル工場に20億ドルを追加投資する」と発表している。
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