2025年 中国の労働事情(中国チーム)
以下の情報は招へいプログラム「中国チーム」参加者から提出された資料をもとに作成したものである。
参加者情報
中華全国総工会(ACFTU)
基本情報(外務省データ2025年5月30日更新分より)
人口:約14億人
宗教:仏教・イスラム教・キリスト教など
政体:人民民主専政
主要産業:第一次産業(名目GDPの7.3%)、第二次産業(同39.9%)、第三次産業(同52.8%)
GDP:約121兆207億元
物価上昇率:2.0%(消費者物価)
1. 若年労働者のスキルアップと高度人材の育成に向けた取り組み
若年労働者のスキルアップと高度人材の育成は、中国製品を高品質で生産し、新たな製品の開発を促進する上で極めて重要である。しかしながら、全労働人口に占める高度人材の割合は、先進国(40%-50%)よりもはるかに低い7%であり、中国では約2,000万人の高度人材が不足している。特に、若年労働者は「工場で従事することを望まない」傾向にあり、製造業の現場における高度人材の不足は深刻である。
そのような状況において、中華全国総工会は労働技能コンテストの開催や、若年労働者に対する思想・政治的指導の強化を促進してきた。また、オンライン学習プラットフォームを構築・活用し、若年労働者の技術・技能の向上に力を入れている。
2. 労働組合幹部の育成
中華全国総工会による労働組合幹部の教育・訓練活動は、「特色のある社会主義思想を堅持し、労働組合の政治性、先進性、大衆性を維持・強化すること」に重点を置いている。本内容について、3つの側面から概要を述べる。
①組織体系
労働組合幹部に対する教育・訓練業務の主管部門は中華全国総工会組織部であり、教育・訓練の計画、制度構築、監督・監査などの職務を遂行する。下部組織である地方組織は担当地域の労働組合幹部の教育・訓練業務に責任を負う。
②制度
中華全国総工会は5年ごとに1回の全国労働組合幹部教育・訓練計画を制定する。直近では、2024年7月に『全国労働組合幹部教育訓練計画(2024-2028年)』を制定し、今後5年間の活動方針について取り決めた。中華全国総工会と地方組織は毎年年初に年度労働組合幹部養成計画を発表し、労働組合幹部養成の具体的な内容やコース数を取り決めている。2023年以降、オンラインとオフライン合わせて118万人以上の労働組合幹部を訓練した。
③カリキュラムと教材
中華全国総工会は、労働組合の基礎理論、組織活動、広報活動、権益補償、労働と経済活動、労働法制、女性労働者、国際労働運動、産業別別労働組合、中国労働者運動史などについて、2年ごとに、30のカリキュラムと8つの教材を作成している。
3. プラットフォーム労働者の権利と利益の保護
プラットフォーム労働者(約8,400万人)は、国民の多様なニーズを満たし、経済発展に貢献している。
従来の働き方と比較して、プラットフォーム労働者は労使関係が不明確であり、規制がかかりにくい。また、就労地域が広く分散しているため、労働紛争の調査と証拠収集が困難である。
中国はプラットフォーム労働者の権利と利益の保護を非常に重視しており、「新たな雇用形態における労働者の権利と利益の保護に関する指導意見」や「プラットフォーム労働者に関する4つのガイドライン(①労働契約の締結及び書面による合意、②権利利益の保護及び労働報酬、③労働規則の公表、④権利利益の保護に関するガイドライン)」など一連の文書を発行した。