米国最高裁がトランプ政権の大量解雇を容認
7月8日のワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズなどが「米国最高裁はトランプ政権の特別解雇計画について、地裁訴訟が続く間にも、米国最高裁が解雇の合否性を判定するまでは政策遂行を容認すると判断した」と報じた。
これによりトランプ政権は各地での訴訟が続く間にも、19省庁での大量解雇と再編成を進めることができる。また大量解雇が議会の承認を得ていないとして解雇の一時差し止めを命じた地方裁判所の判定も無効となる。こうした緊急の最高裁判断にあたっては判事の署名、賛否の数は公表されない。
また注目すべきは、最高裁9名の内、6-3の保守派多数の中にあっても自由派の2判事が賛成と見られることで、自由派のソトメイヤー判事は「政権は各省庁に対し該当する法律の遵守を命じており、訴訟が最高裁まで到達しない現在では判定の段階にない」と語る。
他方、保守派のジャクソン判事の反対は強く「法律論議以前に、このような劇的かつ大規模な政府組織再編成を政権に許すべきではない」と主張する。
こうした中、最高裁の見解を待っていた国務省は15%の人員削減を進めると発表、退役軍人省は予定通り退職や自然減などで3万人の減少と述べているが、連邦公務員の動揺は大きい。
最大労組のアメリカン政府従業員連合会(AFGE)は11のNPOやカリフォルニア州やテキサス、イリノイ州労組などと共同で訴訟を展開しているが、最高裁見解について「議会の承認なしに行うこの様は大規模な再編成は憲法違反だ」と主張する。
また労働組合などは各地の訴訟で「地方裁判所の審議が終わるまで、最高裁はこのような危険極まりない早急な政府再編を許すべきでない。このままでは各種政府計画や行政機関が廃止され、重要な政府サービスも失くなる。大統領のうした越権と議会軽視を許せば、取り返しがつかないことになる。議会との対話無しに憲法の要請を逸脱した一方的な行政命令が許されてはならない」と訴える。
他方、最高裁において連邦政府の代理人として訴訟遂行に当たる司法長官補佐のサウアー法務次官は最高裁に対し「連邦政府を監督する大統領の権力行使に議会の特別許可は必要ない。大統領の再編命令は『議会が承認する政府機能を損なうことなしに遂行せよ』としており、完全に合法だ。地方裁判所による一時差止命令が混乱をもたらしており、公共の利益に反する数千名の余剰人員で税金が無駄使いされている」と述べた。
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