コロンビア大統領が労働法改革への国民信任投票を要求
4月22日のAP通信、4月23日のコロンビアワンおよび5月1日のワシントン・ポストは「コロンビアのペトロ大統領は労働法改革12項目について国民の信任投票に直接問うとする要求を議会に提出した」と報じた。
中道左派路線を貫く大統領は今まで議会に対し労働法改革を幾度か提案してきたが、産業界の強い反対を背景にした上院委員会の否決にあってきた。これに業を煮やした大統領は「国民の労働条件に関わる重要事項の決定は国民が直接決めるべきだ」としてメーデー当日、信任にかける12項目を議会に提案した。12項目の選定にあたって大統領は労働法の中核部分を提示した上で、4月21日までに一般市民からオンラインを通じて集めた項目を入れた。
大統領は「1991年憲法が定める主権在民とは権力が国民にあると言うことだ。国民が自分の意志を表明しなければならない」と言明した。
そして大統領は「コロンビアでは権力の座にあるものが国民の意志を組織的に阻んできた。民主主義における市民の役割、真に民主的な国家の基盤としての構成員の重要性が認識されねばならない。国民は指導者であり、従属するものではない」と述べた。
コロンビアワンが紹介する12項目は下院議会で審議・承認の上、投票にかけられるが、内容は以下の通りである。
1)午前6時から午後6時までの昼間労働時間は8時間以内であるべきか。
2)日曜日と休日労働の100%割増に賛成か。
3)中小企業ないし協同組合への優先金利や補助金に賛成か。
4)労働者の病気休暇や悪性生理休暇に賛成か
5)会社が100人ごとに2名以上の障害者を採用することに賛成か
6)国立職業訓練センターなどで働く若年見習労働者に正式労働契約は必要か
7)ギグは配達労働者への労働契約選択権と社会保障は必要か
8)農業企業における公正賃金と労働権審査のための労働審査機構は必要か
9)労働組合協約における労働法違反の外注や下請け発注は禁止すべきか
10)家事労働、社会介護、ジャーナリスト、競技選手、芸術家、運転者など非公式労働 者に正規労働者としての社会保障を与えるべきか
11)永久雇用契約が雇用安定促進への基準となることに賛成か
12)男女農業労働者への年金支給特別基金の創設に賛成か
内務省によれば、投票総数は対象者3分の1以上の1,360万人である必要があり、各項目の採否はその過半数、680万票以上が必要とされる。2022年のペトロ大統領当選時の得票は1,100万票であった。ペトロ大統領は7週間の父親休暇、50%以上の退職金増額、午後7時以降の残業手当支給などを含む労働法改革を提案していたが、議会審議は進んでいない。
以上