活動報告 メールマガジン

自動車関税に関するUAW声明

2025.05.07掲載

3月26日、全米自動車労組(UAW)は「自動車労働者への勝利で実現する自動車関税はNAFTA(北米自由貿易協定)と自由貿易による災害に終止符を打つ」とする表題で声明を発表したが、要点は以下の通りである。

本日午後、トランプ政権が発表した輸入乗用車とトラックへの関税は30年余りの自由貿易による災害を終結させる始まりとなる。国境を超えて労働者をどん底に追い込んだ有害な経済の枠組みからの脱却と、容赦なき貪欲な企業から国を築く労働者を優先する政策への回帰を意味する。

フェイン会長は「数十年にわたり労働者階級コミュニティを破滅させた自由貿易終結に向けて行動したトランプ政権を賞賛する。自動車産業の過当競争を終わらせるには破綻した貿易協定の修復が必要だが、トランプ政権は本日の行動により歴史を作った」と表明した。

UAWと労働階級は政党指導者が協力して結果を出すことに期待する。明確なのは、政党を問わず、米国が最も繁栄した時代に労働者階級を後退させた政策転換に行動する政治家と協力する、と言うことだ。関税措置は自動車労働者とブルーカラー・コミュニティにとって正しい方向への第一歩であり、ビッグ3からフォルクスワーゲンなどの自動車労働者が米国への良質な組合雇用を取り戻すことになる。

関税措置により、多数の減産工場のシフトの増加やライン拡充で、数ヶ月以内に数千名の仕事が戻る。現在ビッグ3ではメキシコへの生産移転により数千名がレイオフされている。
過去10年間にはビッグ3の15有余の工場閉鎖で年間200万台が減産され、国内販売の数百万台が低賃金・搾取労働の外国製品となったが、自動車メーカーはメキシコや米国労働者の賃金引き下げで記録的利益を上げ、企業階級は記録的報酬を獲得した。

閉鎖・減産工場への生産再開と良質雇用による経済効果、波及効果は莫大である。
チャタヌガ市のVW工場では協約を無視して、1シフトが停止された。VWは北米の75%がメキシコ生産で40%が米国で販売されるが、時給7ドル。即時のシフト再開と米国への生産復帰を要求する。またステランティスのミシガン州ワレン・トラック組立工場では半年前に1,000人がレイオフされ、移転先のメキシコでは10万ドル・トラックが時給3ドルで造られているが、関税により即時のミシガン復帰が可能である。また、ビッグ3は過去20年間に65工場を閉鎖したが、関税により再投資の可能性が出た。

今まで、自動車労働者が公平賃金と品位ある退職、医療保障、仕事と家庭の健全な両立を要求したとき、メーカーは常に破綻した貿易協定を使って外国への生産移転を口実に、労働者を脅迫した。その中でUAWがトランプ政権に求めてきたのは良質な組合雇用を米国に戻すための明確かつ積極的な行動であったが、今回の意義ある措置に励まされる思いだ。重量トラックについても同様の手段を要請する。

そして、次なるステップはUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)再交渉の即時再開である。NAFTA(北米貿易自由協定)の弊害を引き継ぐだけのこの協定は対メキシコ貿易赤字を拡大させ、メキシコへの雇用移転と過当競争を激化させた。

これに対するUAWの要求は;
*国内販売の乗用車の大半がUAWの求める高賃金と労働条件による米国製であること
*搾取と低賃金を求めた工場閉鎖と雇用流出が禁止されること。そのためにはメキシコ労 働者に対する北米最低賃金・諸手当の大幅引き上げと労働権の強力な保護、雇用流出への 罰則が必要である。
*同様の原則による自動車部品供給網の整備。公平賃金と諸手当の実施。米国生産・米国 販売車への米国製部品の装着拡大。

こうした目的実現までの移行期間に当たって、30年間犠牲を払った労働者に被害があってはならない。関税コストは長年にわたり利益を蓄えた自動車メーカーが、消費者に転嫁すること無く、吸収すべきであり、UAWはそのための法制化に協力する。雇用回復までの混乱から労働者に被害が及ばないよう連邦政府の財政援助も必要となろう。
今、労働者に待つ余裕はない。自動車企業が即時に行動する時だ。

以上