2025年 モルドバの労働事情(ユーラシアチーム)
以下の情報は招へいプログラム「ユーラシアチーム」参加者から提出された資料をもとに作成したものである。
参加者情報
- モルドバ労働組合連盟
基本情報(外務省データ2025年11月26日更新分より)
人口:259.7万人(2021年:モルドバ国家統計局。トランスニストリア地域の住民を除く)
宗教:キリスト教(正教)など
政体:共和制
主要産業:卸・小売業(14.9%)、農林水産業(10.4%)、製造業(9.4%)、建設業(8.2%)、不動産(7.0%)、情報通信(5.5%)(2021年:モルドバ国家統計局)
GDP:137億ドル(2021年:IMF)
物価上昇率:5.1%(2021年:IMF)
労働法制の現状と課題
- モルドバは、ILO条約を多数批准し、労働法・労働組合法・給与法・労働安全衛生法など幅広い法律で労使関係を規制している。
- 2023年にはILO第190号(職場の暴力・ハラスメント防止)を批准し、労働者保護を強化している。
- 法律は包括的だが、執行機関の資源不足や雇用関係が国家当局や社会保険制度に正式に申告されない、賃金遵守、職場安全などの課題が残り、デジタル化、日本で一般的に言う非正規雇用に加え、プラットフォーム労働や移民労働などを含む非標準雇用への対応も不十分である。
- 全国労働組合連合(CNSM)は、労働紛争の裁判外解決、賃金保証基金の創設、従業員電子登録簿の導入、労働監督制度の強化、違反への罰則強化などを提案している。
- 2025年には、最低賃金の段階的引き上げ、男女間賃金格差の解消、有害職場の特別定年制度、継続的能力開発基金の設立、社会対話の制度化などの改革が提案されている。
社会保障制度の現状と課題
- 社会保障制度は、「社会保険」「健康保険」「社会扶助」の3本柱で構成され、公的社会保険は全従業員が対象となり、保険料率は公的部門29%、民間部門24%など業種・条件で異なる。
- 被保険者は、傷病手当、出産手当、育児休業給付、失業給付、死亡手当などが受給可能となっている。
- 年金は、老齢・障害・遺族・早期退職などがあり、退職年齢は男女ともに段階的に63歳へ引き上げる予定である。
- 健康保険は、全国民が対象で、給与の9%を拠出し、社会的弱者層の保険料は国が負担する。
- 社会扶助は、失業や不安定就労などの就労上の問題に加え、
貧困や家族構成、健康状態などにより自立が困難な個人・家族に対し、
サービスおよび経済的支援を提供している。課題は、年金水準の低さ、非公式労働者・自営業者への適用の限定、医療サービスへの資金不足などがあり、CNSMは、最低年金引き上げ、医療アクセス向上、脆弱層への保障拡大、EU基準への整合化を提唱している。 - 改革の動向として、退職年齢の均等化、育児や失業などにより年金保険料を拠出していない期間についても年金加入期間として認める無拠出期間の拡大、危険職の早期退職制度、医療サービスのアクセス向上、社会扶助の対象絞り込みと地域密着型サービスへの移行、欧州基準との調和が進んでいる。
