2018年 パキスタンの労働事情

2018年12月20日 講演録

パキスタン労働者連盟(PWF)
サアド モハンマド

中央青年委員長

 

労働情勢について

2016年 2017年 2018年(見通し)
実質GDP(%)
(出典元)
5.37
(www.ceicdata.com)
5.7
(www.ceicdata.com)
5.4
(www.ceicdata.com)
物価上昇率(%)
(出典元)
2.86
(www.ceicdata.com)
4.15
(www.ceicdata.com)

(www.ceicdata.com)
最低賃金
(時間額・日額・月額)
(出典元)
□時間(58 PKR)
□日額(467 PKR)
□月額(14000 PKR)
(PWF)
□時間(62.5 PKR)
□日額(500 PKR)
□月額(15000 PKR)
(PWF)
□時間(62.5 PKR)
□日額(500 PKR)
□月額(15000 PKR)
(PWF)
労使紛争件数
(出典元)
180万
(PWCレポート)
約185万
(PWCレポート)
 
失業率(%)
(出典元)
5.90
(https://
tradingeconomics
.com)
5.90
(https://
tradingeconomics
.com)
6.0
(https://
tradingeconomics
.com)
法定労働時間
(出典元)
8時間/日
( PWF )
42時間/週
( PWF )
時間外/割増率
2倍
( PWF )
休日/割増率
2倍
( PWF )

通貨名:パキスタン・ルピー(PKR)  139.50PKR=約1ドル(2018年12月現在)

労働問題と労組の対応について

 多くの労働問題があるが、重要なところをピックアップして報告したい。

  1. 結社の自由:なかなか組合が作れない。
  2. 組織化と団体交渉:実態として難しい。
  3. 強制労働:産業によって存在する。
  4. 児童労働:違反だが、賃金の問題がある。
  5. 男女差別:女性が抑圧されている。
  6. 労働法が複雑:一般労働者が利用できない。
  7. 社会保障:医療の問題が多い。登録自体が難しい。委員会の労働者代表を政府が務める。
  8. 中国パキスタン経済回廊:パキスタンの労働者を使わない。
  9. EOBI(従業員老齢年金法=Employees’ Old-Age Benefits Institution):州毎に労働法が違う問題。経営者が労働者を年金などに登録しない問題も出ている。
  10. 契約労働者の割合が増えている。正規労働者に変わることがほとんどない。
  11. 契約と実際の労働が違う:契約を書いていないので、証拠がない。
  12. 多国籍企業が労働法を守らない。
  13. 政治的介入
  14. 最低賃金
  15. 労働時間が長い
  16. 安全衛生
  17. インフォーマル労働者が労働法によってカバーされない。
  18. 女性が労働市場に参加していない。
  19. 労働者の福祉機関が認められない:保障された手当がもらえない。
  20. セクシュアルハラスメント

 これに対するPWFの取り組みが以下である。

  1. 労働法を分かりやすくする取り組み
  2. 社会対話の促進
  3. 組織化とリーダー育成のための訓練
  4. インクルーシブなアプローチを基礎にした権利
  5. SDGsを達成するためのキャンペーン
  6. 労働法に関する比較研究
  7. 女性の参加促進
  8. 政策レベルのアドボカシー

質疑応答

Q.パキスタンで労働法が州政府単位となったということだが、中央政府は関与していないのか。

A.州政府は働いている人々に対する社会保障を、中央政府は年金という形態であるが、まだ最終的に決まっている訳ではない。2つの州が反対しており、まだ移管されていない。EOBI(従業員老齢年金法=Employees’ Old-Age Benefits Institution)は連邦法によって出来たが、それを州に移管すること自体がおかしい。

Q.強制労働の実態について教えてほしい。

A.児童労働は2つに分けられる。レンガ造りなどに見られるBondedレイバー(拘束労働)は、借金があって、移動ができないケースが多い。一方、Forcedレイバー(強制労働)は、実際に雇われてみると条件が違う違法な労働が多く、契約に違反した労働をForcedレイバーと言っている。NGOは騒ぐだけで、きちんと問題に対処していない。労働組合は資金がないのでなかなかプロジェクトが行えない実態がある。

Q.労働組合役員が全員解雇されたという話があるが、法的に救済措置はないのか?

A. A社では、職場外でストを行ったのに対し、ストは合法とは認められないと州労働局からも指摘され、現在、最高裁で争われている。