2020年 ベラルーシの労働事情

2020年9月25日 報告

 国際労働財団(JILAF)では、ユーラシアチームとしてベラルーシ、カザフスタン、ウクライナの労働組合役員を招へいし、労働を取り巻く最新情報の共有や日本の労働組合の特徴、生産性運動や雇用安定の取り組みなどについて学ぶためのプログラムを用意した。しかし、新型コロナウイルス禍の影響により来日交流が困難となり、「オンラインプログラム」による取り組みとなった。従来の「海外の労働事情を聴く会」も開催が不可能となった。
 以下は、ナショナルセンターや参加者からの報告資料等を参考にまとめたものである。

ベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)

Vadim Mikhailov
ベラルーシ民主労働組合会議(BKDP) 青年委員会議長

Sviatlana Ushchapouskaya
ベラルーシ独立組合(BNP) 女性委員会議長

 

1.ベラルーシの労働情勢

  2018年 2019年 2020年(見通し)
実質GDP(%)
(出典元)
121,568
百万ルーブル
132,000
百万ルーブル
112.1–115%
物価上昇率(%) 5.6 % 4.7% 4%
最低賃金
(時間額・日額・月額)
□月額(305ルーブル) □月額(330ルーブル) □月額(4月1日現在
 375ルーブル)
労使紛争件数 データなし データなし データなし
失業率(%) 6–10% 6–10% 6–10%
法定労働時間   40時間/週    

※数字は全て政府発表

2.ベラルーシの労働法制・社会保障の特徴

 ベラルーシ労働法は1999年7月26日にベラルーシ大統領と政府によって承認された法律条項文書で、労働者と雇用者との労働協約締結時に生じる労使関係を規定する文書、従業員の養成/教育、労働組合活動、国民の雇用確保、社会保険、労働法を順守しているかどうかの調査、労働争議などを規定している。
 大統領によって導入された短期労働契約システム(大多数の労働者の雇用契約を1年ごとの契約に切り替える)により、ますます悪化の一途をたどる労働法により、労働者は弱い立場に置かれている。

 国家社会保険システムで、保健システムに加入している国民には、一定年齢に達した時にもらえる年金、障害者年金、稼ぎ手を失ったときに支払われる年金、規定年限勤務した場合の年金、職業別年金、妊娠手当、出産手当、3歳児までの育児手当、病気手当、一時的労働能力損失手当、保養治療に関する手当、失業手当、埋葬手当などが確保されている。

3.労働組合が直面している課題

 ITUCの毎年のグローバル・ライツ・インデックスで、ベラルーシは労働者及び労働組合が劣悪な状況にある10ヶ国に入っている。これにはいくつかの体系的な問題がある。

  • 労働組合組織の公認制(これは労働組合創設が許可制であることと関連している)
  • 労働者の短期契約システムがあること。
  • ベラルーシで強制労働が適用されていること。
  • 2004年のベラルーシ共和国によるILOの調査委員会による勧告実施問題。ILOの調査委員会は、ベラルーシ共和国に対しベラルーシの労働者と労働組合の権利侵害をなくすための12の勧告をだした。12の勧告のうち最初2004年に実行されたのは2つの勧告のみだった。2007年委員会の勧告を実施しなかったことでベラルーシは、ヨーロッパ連合の国との貿易の特恵措置を失った。ベラルーシ民主労働組合会議は、世界の労働組合組織とともに、ベラルーシ政府に対し、ILOの調査委員会の勧告を実施して、短期契約を廃止し、国内の強制労働を禁止し、労働組合の設立の許可制を廃止するように働きかけている。

4.最近の特徴的な出来事

 とある鉱山会社において、現在経営側と別の労働組合から弾圧と差別を受けている。理由は、私たちの労働組合がストライキを宣言した労働者を支持したからである。(ストライキとは政治的な理由から業務遂行を自ら拒否することで、ベラルーシの大統領選挙の不正と平和的な抗議活動を厳しく弾圧したこと、治安組織による拘束された市民に対する拷問などの理由からである。)労働者は、ストライキに参加したことで、解雇、ボーナス・休暇なしといった罰が課されている。経営者は裁判に訴え、労働者には国の憲法により保証された権利があるにもかかわらず、裁判ではストライキは非合法であるとされた。ストライキ委員会のメンバーの多くは企業の労働者であるが、逮捕され、行政罰で服役している。現在労働争議委員会が、労働者側の公正でない罰に納得できないとの労働者の宣言にしたがっておこなわれているが、労働組合のリーダーは警察からの脅威をうけている。警察は、労働組合での活動を刑事犯罪としてみようとしている。