2012年 マリの労働事情
2012年9月28日 講演録
マリ全国労働組合(UNTM)
イッサ ベンガリ(Mr.Issa BENGALY)
マリ全国労働組合(UNTM)青年・インフォーマル対策部長
1. 当該国の労働情勢(全般)
マリは海に面していない国で、面積は124 万1200キロ平方メートル、人口は1250万人、15歳から40歳が人口の45%を占める。マリの主な産業は農業であるが、金、マンガン、リンなどの鉱物資源もある。
この十年間、マリは継続的な経済成長を記録したが、失業者数や不完全雇用状態や貧困はそれほど改善していない。インフォーマルセクターが大半を占めている。政府は労働条件を改善し雇用創出策や職業研修政策を打ち出し、労働市場機構も市場の規制と統治に貢献しており、政府の雇用安定所(ANPE、APET)も設立されている。APETは若手労働者の雇用促進の機関である。労働紛争解決のための労働法も整備されている。
2. 労働組合が現在直面している課題
- すべての組合員に労働組合研修を行なう手段が不足している
- 労働者のみならず労働監督官が労働権を知らないなどに起因する多くの対立が発生している。
- 不況による失業・工場閉鎖
3. その課題解決に向け、どのように取り組もうとしているのか
- 政府も含めた労使協議の強化や専門パートナーとの連携の強化
- 当局や国際労働機関(ILO)に対して労働監督官の能力の強化を要請
- UNTMは、国が立憲体制に戻るよう奮闘した
4. あなたのナショナルセンターと政府との関係について説明してください。
政府との関係は良好であり、政府はすべての決定の前にUNTMに意見を求めている。UNTMは、経済社会文化評議会および労働高等評議会で大きな地位を占めている。UNTMは、常に責任ある行動をとってきた。
5. あなたの国の多国籍企業の進出状況について、また多国籍企業における労使紛争があればその内容についてお知らせください
多国籍企業は、あらゆる産業分野に入り込んでいる。鉱山業(Anglo-gold、Rand-gold他)、通信(Orange他)、航空(Air France)、石油(Total、Shell他)、銀行など。
労働者の生活条件の改善要求が、労働争議の主な原因である。多くの場合、多国籍企業に従事している労働者は、マリの隣国の同じ企業の子会社と同条件に改善を求めている。