2010年 ギニアの労働事情
ギニア労働組合(USTG)
チエルノ アマドウ ソウ
鉱山採石エネルギー労働組合 教育・訓練担当書記
1. 労働情勢(全般)
総人口が1,000万人で、労働人口は400万人である。労働者の約70%がインフォーマルセクターで働いており、フォーマルセクターで働く労働者は30%を占めるのみである。
また、失業率が高く、およそ45%に達し、とりわけ青年層で高くなっている。女性労働者が26%と大変少ないことも問題である。
2. 労働組合が現在直面している課題
1984年以来、軍事政権が続いており、グッド・ガバナンスが徹底されず、民主主義をどのように根づかせるかが課題となっている。
それから、HIVエイズの問題もある。民間部門への投資も不足しており、国家の運営がきちんと出来ていない状況である。
3. 課題解決に向けた取り組み
国民の基本的な生活が出来るための協定を2007年に政府と結んだ。この6カ月ほどの間に、USTGは、市民向けの公民権教育(基本法、選挙法)と労働者に対する労働組合員教育を行ってきた。
最低賃金の問題で、基本的な要求書を提出した。わが国にはまだ最低賃金に関する法律が存在していない。
今回、日本に来て生産性運動について話を伺う事が出来、強い関心を持った。生産性が低く、生産性向上の運動が行われていないことを啓発していきたい。
4. ナショナルセンターと政府との関係
労働組合と政府との関係は、現在大変良好な状態にある。ただし、問題がないわけではない。徴兵制度があり、軍部から軍に入って、それから民間に戻るシステムがある。
USTGは、国のガバナンスにおいて重要で不可欠な役割を果たしている。USTGは、政党、民間企業、経済界、ナショナルセンターが担っているギニアの原動力の構成員であり、全員で国民の生活にかかわる決定に参加している。
5. 多国籍企業の進出、労使紛争の状況
ギニアのリベラルな鉱山開発政策により、複数の多国籍鉱山開発会社が国内に進出している。これらの企業はギニアボーキサイト会社(CBG)、Russian
Aluminum (RusAl) 、銀行、保険会社などである。そして、これらの多国籍企業の全職員は労働組合員である。たとえば、2007年に締結された合意に反する強制早期退職に関して、労働者と多国籍企業CBG、RusAlとの間で労使対立が存在している。
このような多数の多国籍企業は、現在まで国の経済的発展には貢献していない。