2015年 ナイジェリアの労働事情
ナイジェリア労働組合会議(NLC)
大学職員労働組合
ラディ・イリヤ
委員長
1.ナイジェリアの労働情勢(全般)
2013年 | 2014年 | 2015年(見通し) | ||||
実質GDP(%) | 5.7% | 6.3% | 5.68% | |||
物価上昇率(%) | 8.7% | 8% | 11% | |||
最低賃金 | 18,000ナイラ | 18,000ナイラ | 18,000ナイラ | |||
労使紛争件数 | ― | ― | ― | |||
法定労働時間 | 8時間/日 8時間週5日 |
5日/週 | 時間外/割増率 組織により異なる |
休日/割増率 組織により異なる |
最低賃金は、8年前に交渉して導入された数値と変わっていない。再交渉を要求しているが、まだ交渉は始まっていない。月額1万8000ナイラ(約90.5ドル=約1万922円)の最低賃金でも税金を支払わなくてはならない。
ナイジェリアの非正規雇用は、多くの場合、カジュアルワーカー、臨時雇用、契約労働と呼ばれている。このような労働者は、年金や退職金の受給権利がなく、一般的に住宅手当、通勤手当等も受けられない。民間部門はこうしたインフォーマルセクターの労働者が最も多い。
ナイジェリア労働組合会議(NLC)は、1988年から1994年の軍事政権下でナショナルセンターが解散させられ、労働組合としての役割を一時停止せざるを得なかった。現在、NLCは労働党と関係を有し、これまでに2回政権を取得した。現在は5人の国会議員がいる。
2.労働組合の直面する課題
一番の課題は公務部門、民間部門で非正規労働が増加していることである。また、賃金の未払いや、公務員の給与滞納、非正規労働者の職業別年金制度への対応、非正規労働者の年金受給資格問題、過激派ボコハラムの活動により治安悪化も課題である。
これらすべてに共通するのは、責任あるリーダーシップの欠如という点である。相手を信頼すること、相手を尊重すること、約束を守ること、この3点が欠けると問題が深刻になる。
3.課題解決への取り組み
まずは現況を監視し、ピケを張り、集会を開催する。課題を抱える組合を支持する。ストライキを実施しなければ変化しない使用者が多いので、団体交渉に応じない場合はストライキで対抗する。
新しい大統領が選出されて以降、政府と労働組合との関係は協力的になっている。公務員賃金未払い問題にも救済措置を出す指示が出た。
我々は、あきらめることなく政府に対話を呼びかけ、必要な法律の制定や政策導入を求めて、ロビー活動を行っていく。
*1ドル=120.69円(2015年10月23日現在)