国際労働財団(JILAF)は、インドネシア労働組合総連合(CITU)との共催で、10月27~28日にジャワ島中央部にあるスラバヤ市で、同月30~31日に首都ジャカルタに隣接するチカラン県ブカシ市で、労使関係・労働政策セミナーを開催しました。セミナーには、CITU幹部をはじめ両場所で関係者約90人が参加しました。
開会式では、ラミディCITU事務局長(スラバヤ市)、アクバルCITU副会長(ブカシ市)からの歓迎の挨拶に続き、南雲弘行JILAF理事長から本セミナーへの期待を含めた挨拶がありました。その後、参加者から、セミナー参加に向けての決意表明が行われました。
セミナーでは、JILAF、CITUそれぞれから、自国の現状認識と課題について講義と質疑応答が行われました。JILAFからは、鈴木宏二副事務長が「日本の労働組合の課題と役割」と題して日本の建設的労使関係に関し、その歴史、組織機構や活動(春闘や労使協議等)に加え、政策実現に向けた政府・使用者への要請行動等を概括的に説明しました。
CITUやインドネシア政府関係者・経営者団体からは、世界経済とインドネシアの賃金制度、インダストリー4.0への対応、持続可能性と利益配分のあり方、多国籍企業と労働組合などの広範囲にわたる内容についての講義があり、さらにブカシ市のセミナーでは、女性の活躍についての話題にも時間が割かれました。
これらの講義に対し、参加者からは活発な質問がなされ、労使の相互理解、労働組合の交渉力強化、技能実習制度に対する注視の必要性について、意見が交わされました。
続いて、参加者はグループに分かれ、スラバヤ市では良好な労使関係構築、グローバル化への対応、労使紛争解決のための方法について、ブカシ市ではインダストリー4.0への対応、失業問題解決に向けた労働組合の役割、女性の役割向上についての課題に対し、どのように対処していくかについて議論し、アクションプランを立て、グループごとに発表しました。
最後に、南雲理事長が、労働組合が建設的労使関係を構築し労使紛争を未然に防止することが本セミナーの趣旨であると改めて強調し、労使間の信頼関係が重要であると説き、労働者や労働組合がより強くなるためには女性・若年層の参加や組合における一体感の醸成が必要だと述べまた。そして、今後は労働組合が率先して課題解決に向かっていくことがインドネシアの発展に繋がると、労働組合への期待を表明しました。これに対し、CITUからは、日系企業の良い歴史と役割について言及し、ストライキだけが解決策ではなく社会対話が重要であると強調しました。また、JILAFの支援への謝辞とともに、今後の更なる協力への期待が述べられ閉会しました。
月日 | 内容 | |
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10月27日 | 土 | セミナー1日目(会場:スラバヤ市内) |
10月28日 | 日 | セミナー2日目(会場:スラバヤ市内) |
10月29日 | 月 | |
10月30日 | 火 | セミナー1日目(会場:ブカシ市内) |
10月31日 | 水 | セミナー2日目(会場:ブカシ市内) |