国際労働財団(JILAF)は、フィリピン労働組合会議(TUCP)との共催で、労使関係・労働政策セミナーを5月9~10日にケソン市、12~13日にラグナ郡で開催した。セミナーには、関係者約100人が参加しました。
本セミナーでは、冒頭にルーベン・トレスTUCP会長、南雲弘行JILAF理事長、日本国大使館安川学一等書記官が挨拶を行った後、JILAF及びTUCPそれぞれから、各国の労使関係に対する現状認識と課題について説明しました。日本の建設的労使関係に関し、JILAF辻直浩グループリーダーが「日本の労働組合の課題と役割」と題して、その歴史、組織機構や活動(春闘や労使協議等)に加え、政策実現に向けた政府及び使用者に対する要請行動等を概括的に説明しました。
一方、TUCPトレス会長は「仕事の将来」についてプレゼンし、IT技術の発展等による産業構造の変化に対して、労働者及び労働組合が準備を始める必要があると訴えました。
これらに対し、参加者からは、組合費の用途・会計の明朗性、組合の政治・政党への関与などについて質問や意見等が述べられ、南雲理事長から適宜見解をフィードバックした。南雲理事長は、特に、労働組合が使用者からだけでなく、組合員からも社会からも信頼される存在になることの重要性について強調しました。
労使関係に関する討論会では、TUCPからフィリピンの労働事情について、貧困・格差が広まった上に、使用者から組合への妨害も少なくないとの説明があり、これらの課題に対するTUCPの活動紹介と更なる団結への訴えがありました。労働雇用省からは3人の参加があり、フィリピン労働市場の概況とその中での三者対話の役割、労使紛争解決手法の中でも労働者の立場を考慮したSEnA制度(労働裁判以前の30日間で任意の調停又は仲裁を行う義務的手続)の紹介、労働法の監査制度についての説明があった。ここでは監査員の不足に対する監査員養成講座の紹介があり、多くの参加者から、受講し監査に参画したいとの積極的意見がありました。
2日目には、経済特区・BPO産業内又は教育セクターにおける労使関係、非正規から正規への移行状況、女性・青年の社会参画と平等機会についての現状報告があり、労働組合としての取組みの必要性が述べられました。また、グリーンジョブがディーセントワークや生産性向上に結び付くものだとして、これを推進すべきとの主張もありました。
すべての発表と討議の後、参加者全員が参加し、今回のセミナーを通じて得た内容で何が重要か、それらにどう対処していくか(「アクションプラン」)をグループごとに議論し、発表しました。
最後に、南雲理事長から、労働組合の使命、リーダーとしての自己研さんの重要性や今回集まったメンバーでのネットワークを大切にすること、そして自ら行動することを訴えた上で、今後の活動への期待を表明しました。これに対し、TUCPからは、労働組合の活動は一人ではできず団結が必要である、比較的友好的な日系企業とは特に友好的な関係を築き、さらにはJILAF及び連合との連携も大切にしていきたい旨の表明があり、参加者にはリーダーとして今後も挑戦を続けて欲しいとの要望とともに、今後の活動への期待が述べられ閉会としました。
月日 | 内容 | |
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05月09日 | 水 | セミナー1日目(会場:ケソン) |
05月10日 | 木 | セミナー2日目(会場:ケソン) |
05月11日 | 金 | |
05月12日 | 土 | セミナー1日目(会場:ラグナ) |
05月13日 | 日 | セミナー2日目(会場:ラグナ) |